内容説明
全部読まなければ、この本のすごさはわからない!
日本民俗学の創始者である柳田の原点にして代表作には、いったい何が論じられ、企てられたのか。
「平地人を戦慄せしめよ」という高らかな宣言に込められたものとは何か。
「ザシキワラシ、オシラサマや河童たちが躍る不思議な世界」
「叙情豊かな日本人の原風景」
という本書がまとってきたイメージの奥にある真価を読み取るための、
懇切な解説つき全文現代語訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
14
現代語訳なんて必要か?と思っていたが、訳文は確かに読みやすい。部分的にしか付けられていないが、訳注も全訳注シリーズの他の本とはかなり趣が異なっており、当該項目の関連の研究の紹介を中心とする、長文にわたるものである。巻末の付録は実質上の解説、解題で、『遠野物語』の研究史や、これまでどう読まれてきたかがまとめられている。本書を別の版で既に持っている読者も買う価値があると思う。2023/08/20
みのくま
6
改めて本書を再読してみると以前読んだ時には気にならなかった箇所が気になってしまうようになる。遠野の怪異は前近代的な想像力が近過去にあった事を「この話は○年前に起こった」という文言で表している。近代化によって捨て去ってしまったものを再度汲み上げようとする柳田の意図がここに垣間見えるのだ。遠野という中央から周縁化された寒村で起こる数々の怪異は、現代人の目線で見れば殺人・窃盗・拉致監禁など残酷な事件に他ならない。しかし、遠野という土地ならではの怨念がその事件を脚色する。安倍貞任やアイヌ、山の民という要素である。2024/03/16
Jack Amano
5
口伝の民間伝承を民俗学者の柳田國男がまとめたもの。民俗学の必読書。似たような言い伝えは、日本の各地に会ったのだろうと思われるものも多い(子どものころに似たような話を年寄りから聞いた、というものもあった)。日本の田舎の習俗や、昔の民衆の生活ぶりなども分かるので、なかなか面白い。2024/10/02
アル
4
原文は文語体の『遠野物語』の現代語訳。現代語訳はですます調の語りの柔らかさが印象的で、続けて記載されている原文の端正さと好対照。 注は語注的なものではなく、各章全体の解説に近い内容で訳者の研究・論説がはっきり出ている感。 「付録」では『遠野物語』の受容史を中心に具体的な書名を挙げて解説しているが、1970~80年代の論考が柳田邦夫の意図するところを読み取れていない点、特に80年代の柳田批判が西洋民俗学の受け売りで否定していたことにかなり批判的なのが印象に残った。2023/09/07
拡がる読書会@大阪
3
日本の民俗学者・柳田國男さんが1910年に発表した、日本の民話や伝説、風習を集めた書物です。この作品は、岩手県遠野市を中心に伝わる口承伝説や民話をまとめたもので、日本の民俗学の先駆的な作品として広く知られています。 カッパ、座敷童子など、超自然的な存在が登場し、人々に幸運や災いをもたらす話は聞いたことある方も多いんじゃないでしょうか。今なお日本の文化や歴史を学ぶ上で欠かせない資料として広く読まれ続けています。 https://note.com/sharebookworld/n/n1a80d25175002024/08/20