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内容説明
●日本人の6人に1人は貧困層、世界で7億人超が絶対的貧困…… ●世界と日本のデータが明かす「見えない貧困」の真実とは? ●読めば、この国の「幸せのかたち」が見えてくる! 世界第3位のGDPを誇る日本。しかし実際には、「先進国中ワースト4位の貧困国」であると聞けば、驚くだろうか。その理由は、日本の貧困は、いわゆる途上国の貧困とされる「絶対的貧困」とはまったく形態が異なる「相対的貧困」だから。貧困という言葉は同じでも、絶対的貧困と相対的貧困は、その性質が大きく異なる。本書では、途上国の絶対的貧困と、日本の相対的貧困を8つの視点から比較することで、現代社会における「本当の貧しさとは何か」を考える。読めば、貧しさとは何か、希望とは何か、豊かさとは何か――その片鱗が見えてくる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
53
貧困をテーマとした作品を何作も上梓してきた著者だからこそ書ける、気味が悪いほど冷静に世界と日本の「貧しさ」を比較・カテゴライズし、エピソードとともに紹介した一冊です。インドのカースト制度と同じぐらい日本の貧困にも救いがないことがわかり、ぞっとしました。落ちたらもう這い上がれない。それが日本の貧困の無慈悲さな気がします。勤勉な人の多い国だからこそ、一度「無能」とレッテルがはられると自分自身すらあきらめてしまう…そんなシステムが幸福度を下げているのかも。一読の価値がある内容です。2024/12/30
ニッポニア
51
日本は先進国の中でファースト4位の貧困国である。と驚愕。以下メモ。途上国のそれとは全く形態が異なる相対的貧困。日本が直面している社会課題はほとんど貧困と関係している。日本は貧富が入り乱れる住宅地、福祉制度による孤立が起こる。コミュニティーとして貧困を対処する途上国に対し、日本は福祉制度により対処する。社会の状況によって、犯罪組織が必要悪とみなされるか、完全悪とみなされるかが分かれる。コミュニティーによる弔いか、行政による埋葬か、途上国と日本との違い。2025/07/28
読特
45
日本文学と世界文学。喚起される趣は違えど、それぞれが味わい深い。人口減少に悩まされる日本。人口爆発が起きている世界。問題ということでは変わらない。…国が救えず、近しい仲間でコミュニティーを作り助け合いながら生きる絶対的貧困。多くのセーフティネットがありながら精神的に病みその利用方法に行きつけず、片隅のアパートで孤独死を迎える相対的貧困。身近にも起き得る日本の貧困。渡航しなければ直接触れることのない海外の貧困。絶対軸で比較できない日本と世界。照らし合わせることで見えてくる何かがある。今この時代に生きている。2023/10/08
こも 旧柏バカ一代
32
日本と途上国の貧困のリスクは全く違う。ただ、日本の貧困は孤独とセットになるのが多いらしい。反対に途上国の貧困は相互補助のシステムが出来ている。2025/04/20
ひと
22
日本の相対的貧困をインドや東南アジアの絶対的貧困と比較しながら、その特殊性を整理して伝えてくれる本。日本の特徴として精神障害等によるコミュニティからの離脱による貧困化とその後の孤立化に、救うことの難しさを感じました。貧困への対応として、欧米との取り組みとの比較も知りたくなりました。援助側、被援助側の双方に、キリスト教思想による取り組み易さがある予感がします。また、途上国のルポからスタートした視点の石井光太氏と、国内の失われた世代の視点からの雨宮処凛氏との対談も聞いてみたくなりました。2025/01/25