内容説明
古来、中国人は日本人をさまざまにイメージし、歴史書に記録し、絵画に描いてきた。そのなかには、荒唐無稽なものもあるが、驚くほど現実に近く詳細なものもある。本書では、かつて日本人が「倭」と呼ばれていた時代の歴史書や地理書から、明の時代に人々が使っていた日用の辞書、日清戦争前後に発行された絵入り新聞、現代の映画に至るまで、中国人による日本人=〈鬼子〉イメージの変遷をたどる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
14
タイトルから想像されるほど広い範囲を扱ってはおらず、清末の絵画資料から見た日本人イメージがメイン。掘り下げも浅く、単に面白いものを集めてみましたという印象。だが「あとがき」を読むと、著者なりの韜晦があるようにも感じる。まあ、ここは素直に楽しんでおくのが吉だろう。清の画家が描いた日本人像を見ると、明治に入ってからも相変わらずちょんまげに和装姿。あのスタイルがよほど印象的だったのか。ただ、我々だって「中国代表」ラーメンマンを辮髪にしているのだから人のことは言えない。2025/08/11
みなみ
13
中国人はむかしから異国人を「鬼」と見做していた。近代になると西洋人が中国人の敵となり、「鬼子」と呼ばれた。その後日清戦争など近代史の中で、日本人は西洋人と区別される形で「日本鬼子」と呼ばれ、やがて侵略戦争により、日本人それ自体が「日本鬼子」と敵視されるようになる。むかしから外国人を鬼と呼んでいたというのは、日本人も同じで、なるほどと納得してしまう。図録が多くて読みやすい一冊だった。2023/07/10
ののまる
5
図像学と割り切れば面白いとは思うけど。2015/03/08
竜王五代の人
4
日清戦争前後の中国の絵入り新聞に現れた日本と日本人像の本。中国語の「鬼」は日本語とは意味が違うとは言われるけど、語感で言えば日本語で言うところの「鬼畜米英」じゃなくて「異人」あたりに近いんじゃないかと感じた。グイヅと読みがな振るだけある。絵画表現にはある程度の蔑視もあるけどまあ許容範囲。それよりも、日清戦争が終わった後に急に中立的な表現に変わったという現象の方が驚きである。2023/02/12
bittersweet symphony
2
著者は北海道大学教授、中野美代子氏の舎弟でもあります(中国の絵入り新聞についての共著を以前読みました)。予想していたのは古代史から現代までの中国史に現われる日本人の図像の変遷というものでしたが、19世紀末の日清戦争前後の図像の紹介が主で、荒俣宏的なあまり必要そうでないものを一生懸命集めて満足している感がありちと期待はずれでした。戦時のマスコミのプロパガンダへの利用のされぶりが強調されてもいますが、まぁ常識的な考え方ですね。2005/10/07
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