内容説明
「anan」「BRUTUS」「POPEYE」日本の出版文化の一時代を築いた雑誌を生み出したアートディレクターであり、数々の名作絵本の作者としても知られる堀内誠一。エディトリアルデザインの先駆者であり、天才と呼ばれた著者が、戦前から1980年代までの雑誌と絵本作りの現場を生き生きと語る唯一の自伝が初の文庫化。各方面で活躍したクリエイターたちとの交遊録も必見。
目次
序にかえて/父の時代/多田北烏の回想/本所向島一丁目/「治ちゃんはスゴかったんだぞ……」/レオナルド・ダ・ヴィンチ博/私の時代/「僕はチブスだ、ウンコが赤い」/「ポパイのアリババ退治」/「少年期」──戦争後期/焼け跡渡り──敗戦直後/百貨店の「百貨展」/『ロッコール』/織物出版/アド・センター/名取洋之助/広告、そして広告ばなれ/『アンアン』まで/絵本との出合い・交友録/パリ/その後──単行本未収録エッセー&インタビュー/図案家なりし父の時代/エディトリアル・デザインは編集の領域に首をつっこんじゃう/海からやってきた少女または沖の小娘/秋山さんの写真で惹き起こされた想い出/絵本のたのしみ/瀬田さん/旅のお仲間/堀内誠一、わがエディトリアル・デザイン史/あとがき/時代を見据える目 林綾野
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
16
ちくま文庫の新刊です。フリースタイル社から出たばかりの『49冊のアンアン』にタイミングを合わせたのか? そのアンアンのアートディレクターとして、頭角を現した才人の自叙伝の文庫化です。著者の父で図案家であった、堀内治雄のデザイン事務所、レインボースタジオから話は始まります。そして、誠一さんには、デザイナーの他にさし絵画家としての一面もあり福音館書店での絵本の仕事(ぐるんぱのようちえん他)にも触れています。70年創刊のan・anのロゴも誠一さんが作ったし、あの当時のアンアンはもう異世界の様に輝いてました。2023/05/21
chuji
4
久喜市立中央図書館の本。2023年5月初版。1979年11月に日本エディタースクール出版部より刊行され、2007年4月にマガジンハウスより増補改訂版が刊行され、今回の文庫化に際して、再編集の上、巻頭の口絵を加え、三編を増補したもの。堀内氏の早すぎた自叙伝。オイラはこの本に出会うまで『堀内』さんを存じ上げなかった。2023/07/05
kana0202
3
おもろい。とくに最初の下町での職人たちの生活と、業界に入り始めた頃に出会った写真家たちの話が。知らない固有名詞が相当出てきたので、周りを掘ってからまた読み返したい。ananやbrutusなどの話もさらに知りたい。イラストやデザインはまだまだ研究が足りていないが、美術の世界と関わりながら社会にとって非常に重要なもの。2023/05/30