一八世紀の秘密外交史:ロシア専制の起源

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一八世紀の秘密外交史:ロシア専制の起源

  • ISBN:9784560094945

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内容説明

「ロシアが欲しいのは水である」

資本主義の理論的解明に生涯を捧げたマルクス。彼はこの『資本論』に結実する探究の傍ら、1850年代、資本の文明化作用を阻むアジア的社会の研究から、東洋的専制を発見する。
他方、クリミア戦争下に構想された本書で、マルクスはロシア的専制の起源に東洋的専制を見た。ロシア社会の専制化は、モンゴル来襲と諸公国の従属、いわゆる「タタールの軛」(1237-1462)によってもたらされたと分析したのである。
このため、マルクスの娘、エリノアの手になる本書は歴史の闇に葬られ、とりわけ社会主義圏では一切刊行されなかったという。
とはいえ、東洋的専制という問題意識は、その後、本書の序文を書いたウィットフォーゲルによって深められた。
フランクフルトの社会研究所で頭角を現した彼は、『オリエンタル・デスポティズム』(1957年)に収斂していく研究で、専制の基底に大規模灌漑を要する「水力世界」を見出し、さらに、ソ連・中国の社会主義を東洋的専制の復活を見た。
ウクライナ戦争が長期化する中、ロシアの強権体質への関心が高まっている。本書収録「近代ロシアの根源について」は今こそ読まれるべきだ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スターライト

5
ロシア・イギリス・スウェーデン・デンマークの動向を外交官らの書簡をもとに明らかにし、北欧諸国をけん制するためにロシアを利用したイギリスと勢力を伸長させるロシアがどう展開していくのかが描かれる。ロシアが硬軟取り混ぜて強大化していく過程やモンゴルの世界支配の「再現」、それを可能にしていくアジア的支配様式などの指摘には目からウロコ。専制国家が非専制化→その挫折→再専制化の閉じたサイクルは今後も続くという言葉には絶望。今日のロシア・ウクライナ問題を考える手引きにもなる書。2023/08/21

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