内容説明
日常の移動手段として利用される鉄道は必ず目的があって造られたが、その背景には「政治」「国家」という大きなベクトルが関わっている。当書は、その関わりをキーワードに多くの事例を取り上げ、より実感的に解説。中央集権、戦争、利便、災害復旧、国際協力など、鉄道が関わってきた役割の重要な一断面を通し、日本の近現代史を体系的に浮き彫りにする。
目次
第1章 鉄道は国家百年の大計
第2章 日本の鉄道を創った政治家たち
第3章 「 我田引鉄」で生まれた鉄道
第4章 政治が生み出す停車場
第5章 鉄路存亡を左右する政治の力
第6章 海外への日本鉄道進出
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
120
都市では鉄道はあって当然と思うが、地方住民には政治の力で金を引き出して作らねばならなかった。為政者には人とモノの輸送を確保し、戦時には軍隊を送るなど国の発展に不可欠のインフラであった。即ち国家あっての鉄道であり、地理や歴史、政策により路線が決まるのが当然との事実を再認識させられる。後発資本主義国の日本では開業当初から鉄道=国家であり、我田引鉄から整備新幹線まで鉄道と政治は深く結びついていた。負担に反発する国民が増えて赤字線廃止が進んだが、地方側は再び衰退しかねない。この解を見つけられる政治家は現れるのか。2023/11/18
Sam
49
副題の通り「我田引鉄」の近現代史。知らないことが多く参考になった。余談ながら最終章「海外への日本鉄道進出」を読んでたら、20年くらい前、NYの地下鉄に乗ったときに車両が川崎重工製であることに気づき、日本のメーカはすごいのだなと感心したことを思い出した。グローバルな競争が激しい現在においては、欧州勢との競争で苦杯を舐めたり急速に伸展する中国の技術力・仁義なき営業力と対峙したりしつつ、国を挙げて新幹線や地下鉄のシステムの輸出に取り組んでいることが書かれている。「テキサス新幹線」の実現に期待したいものだ。2023/08/09
siomin
2
時代によって、官がどれほど鉄道に関わってくる度合いが異なることがわかります。日本の鉄道史を振り返ると、明治期は民鉄の力が強いが戦争時は官の力が強まるし、新幹線のような国家プロジェクトとなるとやはり官が強い。そして平成以降は国鉄の民営化がなされ官とのかかわりが薄れていく。ずいぶん異なるものです。本書の記述はここまでですが、JR北海道を中心にの地方ローカル線の廃止が続いていたり、災害に復旧が困難になる路線が多いとなると、逆に国防や地方創生のためにも、国家による鉄道の保護が必要な時代に入ったのかもしれません。2024/12/31
林克也
1
鉄道も道路もオリンピックも万博も、そしてショッピングモールも原発も、みーんな政治屋を使って儲けるための手段には違いない。それが(身近に)来たこと、あることで助かる人もいるから否定はできないけど。2024/04/30
かわくん
1
我田引鉄の話で出てくるのは私が住む岩手。一ノ関から沿岸部に行く大船渡線だ。選挙の結果によって駅の設置が最短距離を逸脱して、いわゆる「なべづる線」の形になる。この鉄道に全線乗ったことはないが、当時は駅の設置が地域開発の核となったことが考えられる。公共資産として鉄道が貴重だった時代だ。この本では東日本大震災が鉄道への世間の見方を変えることになったという。第3セクター「三陸鉄道」の復旧などに多額の金を費やしたのも、公共資産としての認識が高まったためともいえよう。2023/09/18




