内容説明
動物の苦しみ、気候危機、健康な食生活を気にかけるすべての人へ。「最も影響力のある現代の哲学者」ピーター・シンガーが動物解放論、ヴィーガニズムとベジタリアニズムについて書き継いできたエッセイと論考を精選。1973年の記念碑的論文「動物の解放」から2020年の新型コロナウイルス禍に対するコメントまで、半世紀にわたる著述活動を一冊に封じ込めたオールタイム・ベスト・コレクション。
目次
はじめに
動物の解放――1975年版の序文
動物の解放(1973年)
これが鶏の倫理的な扱い方だろうか?(ジム・メイソンとの共著)(2006年)
オックスフォードのベジタリアンたち――私的な回想(1982年)
ベジタリアンの哲学(1998年)
もしも魚が叫べたら(2010年)
ヴィーガンになるべき理由(2007年)
培養肉は地球を救えるか?(2018年)
COVID-19に関する二つの闇(パオラ・カバリエリとの共著)(2020年)
訳者解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
61
コロナの原因となったウェットマーケット(生きた動物が売買され、その場で殺される)が中国のほか、日本、ベトナム・フィリピンなどで見られる、と書いてあるけど、日本ないと思う・・2023/09/08
たまきら
48
なぜヴィーガン自体は応援したいし自分も嫌でない食餌法なのに、読んでいると悲しい気持ちになるんだろう。なぜ責められているような気持ちになるんだろう。フェアトレードでないチョコなどとはまた違った「Guilty pleasure」なんだろうか。私が買ってまで食べることをやめたウナギ(絶滅危惧種間近)、のれそれ(資源の枯渇)、マグロ(絶滅の恐れと汚染)。人それぞれ「食べる」には生き方があり、そこを否定する言葉は人をかたくなにする気がする。…上から目線だから?2023/10/14
よっち
28
動物の苦しみ、気候危機、健康な食生活を気にかける人向けに、現代の哲学者ピーター・シンガーが動物解放論、ヴィーガニズムとベジタリアニズムについて書き継いできたものを精選した一冊。食肉に供されるために飼育される動物たちは倫理的な扱いをされているのか、ベジタリアンの哲学とはどのようなものか、気候温暖化の影響や培養肉の可能性、コロナ禍に関するコメントなどが収録されている一冊で、著者自身はマイルドなヴィーガンとして現状を論じてゆく立ち位置で、どういう考えからヴィーガンというあり方が主張されるのか興味深く読みました。2023/08/30
gokuri
4
ヴィ―ガンとはなにか、その基本理念、その周辺問題を示す論文を編んだ本。 ほぼ、予備知識もなく、漠然と宗教的な意味での肉食をしない文化と勘違いしていた私の目を開かせてくれた。 実験動物の扱いから始まり、食用の動物飼育に対し、動物の苦痛を、人間における苦痛までに昇華させ、倫理的な思考から、ヴィ―ガンにいたる順路を示す。 倫理的あるいは哲学的な思考は、その厳格さと一部柔軟さに戸惑う。動物の開放から発展し、ベジタリアニズム、培養肉、地球温暖化、感染症問題など、その視点は本当に多様である2024/10/31
かみうち
4
やっと読めました。ところで、「シンガーは動物性タンパク質を摂取しなくても、サプリメントでビタミンを補うことで健康な生活を保てる」といった趣旨のことを言ってたが、そのサプリの開発には「動物実験」が欠かせなかったのではないだろうか(そして今も欠かせないのではないだろうか)。おそらく、「これから」種差別を支持しないためにどのように振る舞うべきかと、「これまで」種差別を支持してきたことについてどのように振る舞うべきかについて、区別して考える必要があるのだろう。2024/05/11




