内容説明
看取り士(みとりし)――逝く人の最期に寄り添い、見送る人。また、家族だけでの看取りをサポートする人のことをいう。本書は、25年ものあいだ、生と死に向き合い続けた看取り士・柴田久美子のエッセー。
日本人のおよそ8割が病院で最期を迎える一方で、その約5割が「自宅で最期を迎えたい」と願っているといわれる。しかし、自宅で看取る文化が薄くなった現代社会では、看護・介護する側がその望みを叶えてあげたくても難しい事情があるのが現実だ。こうした状況から、著者は「尊厳ある最期が守られる社会を創りたい」と願い、自らを「看取り士」と名乗った。
200人以上のケースをもとに、看取りの際の心構えや実際の触れ合い方に加え、エンディングノートの活用の仕方、旅立つ人から魂(いのち)を引き継ぐ大切さなどを紹介。厚生労働省が在宅医療・介護への方針転換を始めた今、自らの、そして大切な人のQuality of Death(QOD/死の質)を考え、より良い人生、より良い最期を送るための手引書となる。
巻末には、医師・鎌田實氏(諏訪中央病院名誉院長)との対談を収録。看取り士の誕生秘話をはじめ、死に対する二人の考え、地域包括ケアという共通の夢について語り合う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
52
【看取りは、命のバトンの受け渡し】離島で「看取りの家」を創設後、活動の場を本土に移し、2012年に看取りの尊さを共有する「日本看取り士会」を設立した著者が、これまで出会った「幸(高)齢者」や、余命を宣告された人々とその家族とのふれあいを紹介した書。鎌田實との対談も収録。<私は、昔勤務していた老人ホームで苦い経験をしています。まもなく旅立ちを迎える利用者さんを、その方の意志に反して施設の判断で病院に搬送するという現場を何度も目の当たりにしたことです。以来、「看取る」ということにこだわり続けてきました>と。⇒2024/01/05
JILLmama
41
どうしてもこの手の本は、宗教ぽい、スピリチュアルな話が出てきてしまう。 いつも死は身近にあるけれど、その人、その家族それぞれ望む事も考えた方も違うので、あれで良かったのか? と仕事を振り返る為には良い本でした。 看取り士がメジャーになる日があるのかはわからないけれど、最後の対談で鎌田先生が話すように、何かしらの基礎資格がある者がなる方がいいと思う。 死に寄り添い、家族まで支えるという素晴らしい 役割だがどうしても胡散臭さを感じてしまう、、、。2018/11/20
tomtom
11
亡くなった人を長い時間抱き抱えて過ごすことは実際難しいのかもしれないけど、慌ただしく葬儀の準備をしてしまうより自分の中で昇華させるために時間は必要だと思う。ホームで亡くなった時、他の入居者から隠されるようにして退去させられる事も多いけど、寿命を全うしたのだから他の入居者ともきちんとお別れ出来るといいなと思った。2021/11/18
タカエス
8
私の両親はともに80代で元気に生きてますが、近い将来、看取ることになるでしょう。親を看取ることに対して、今まであまり深く考えていませんでした。人生の最期をどのように迎えるかは、その人にとっても残される家族にとっても、非常に大切な問題だと思います。最期次第で良い人生だったか否かが決まると言っても過言ではありません。著者は日本人はまだまだ家族の死に対する認識が未熟だと言っています。私自身も含めて、全く同感です。親を看取った後、今度は自分の番が必ずやってきます。さてどうするか。準備を整えなければと思うのだが。2022/07/22
anenyan
5
死の際にいる人に文字通り寄り添い、旅立ちを見届ける看取り士の話。私はといえば、死生観が未熟で、死んだらすべて終わり、死後など無いと幼少の頃教わって、以来命を責任を持って背負うこともできないまま、人でなしの人生を送ってきたから、この本に出てくる人たちの温かさには共感ではなく尊敬に近い、ちょっと遠い距離の感覚を抱いた。一番近くの他者である自分の死後を人に託さねばならない現実を、希望の可能性とともに学ぶことができた。重いテーマの本だけど、スラスラと頭に、心に入ってきて、ページをめくる手が止まらなかった。2019/06/08
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