内容説明
「ガッツ」重視の就活に始まり、妻子の経済的支柱たることを課せられ、育休をとれば、出世ラインを外れれば、同僚らから蔑視される被抑圧性。「男らしさ」のジェンダー規範を具現化できず苦しむ男性が増えている。定年後も続く「男」の呪いから解き放たれ、誰もが生きやすい社会を、詳細ルポを通して考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
20
拙速に女性管理職を増やそうとして失敗しているケースを身近でもよく見かけたが、そういった辛さ以外にも、社会から、親族から求められる「男らしく」という呪縛など、頷ける部分も多々。とにかくいち早く、男性が胸を張って育児関連の休みを取れる社会になって欲しいところ。2023/11/11
金城 雅大(きんじょう まさひろ)
20
本書で提起された問題は、当事者として大いに実感しているところだ。昨年通っていたリワーク(休職した労働者が復職を目指して通う回復プログラム)で男性のメンバーの割合が多かったのも、やはりこの諸問題が表出している現象だろう。(↓続) 2023/08/31
二人娘の父
7
「男らしくあれ」の呪縛から逃れられずに苦悩する男性たちの実態をあらわにする本書。取材の粘り強さなど、なかなか読み応えもあり知見を深めることになった。ただし、「第1章 女性に虐げられる男性」だけはまったく的はずれであり、不要な章である。なぜこの章が冒頭に置かれたのか。それ以降の流れからも、かなり違和感もある。著者の意向なのか、編集からの要望なのか。何れにしても男女分断を煽るだけの不毛な文章であり、本書と著者の価値を著しく低めるものになっている。2023/10/06
yurari
4
男たちも様々な葛藤を抱えているなと。ただ、就活セクシズムの話は、これのどこが昔ながらの強い男なのかよく分からなかった。就活中の男子大学生が、営業で外回りを続ける体力はあるか、仕事をとってくるしぶとさは、同業他社に負けないガッツは、などと企業から聞かれたそうだ。私は女だが、聞かれても特に違和感がない質問ばかり。ただ、男子大学生は「僕にはない、昔ながらの強い男を求めている気がしてとても不快でしたし、自信が失せてしまったというか…」とのこと。単純に社風が合わなかっただけな気がするけど、違うのかな…。2024/04/16
うる
3
フェミニズムについては注目されがちだが、一方で男性側の話があまり挙がっていないため気になり読んでみた。 男性らしさに苦しむ男性など、様々な苦難に遭う男性方のインタビューをもとに男性の苦しさを論じた本。 フェミニズム関連本を読みがちだが、性別に拘わらず様々な性別に関してのものに触れていかなければ一方的な偏った考え方をしてしまう、と自身の視野の狭まりに危機感を憶えた。2024/04/20