人工知能とどうつきあうか - 哲学から考える

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人工知能とどうつきあうか - 哲学から考える

  • 著者名:鈴木貴之
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  • 勁草書房(2023/08発売)
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  • ISBN:9784326103249

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内容説明

深層学習を用いた人工知能の急速な進展によって、2010年頃に第3次人工知能ブームが到来した。しかし、生物のように多様な課題を行うことができる汎用知能を作るという究極目標を実現する見通しはまだ得られていない。本書では哲学の知見を踏まえ、人工知能を人間の能力を拡張する道具と捉えて建設的な関係性を構築する道を探る。

目次

はじめに[鈴木貴之]

 I 道具としての人工知能――理論的考察

第1章 人工知能に関する2つの見方――主体としての人工知能と道具としての人工知能[鈴木貴之]
 1 道具としての人工知能という目標設定
 2 主体としての人工知能の原理的困難
 3 道具としての人工知能という見方の意義
 4 道具としての人工知能の課題
 5 まとめ

第2章 AI対IA――対立の構図に隠された真の主題[柴田崇]
 1 はじめに
 2 AIとIAの対立図式
 3 マルコフの技術論の意義と限界
 4 拡張論に内在する誤りとは何か
 5 衰退論から見えてくるもの
 6 おわりに

第3章 人工知能と現象の理解[今泉允聡]
 1 はじめに――深層学習と人工知能
 2 深層学習・人工知能と「理解」
 3 深層学習を使って物事を理解すること
 4 理解の対象としての深層学習
 5 おわりに

第4章 深層学習後の科学のあり方を考える[大塚淳]
 1 科学における統計学の役割
 2 深層学習
 3 何のための正当化か?
 4 客観性と合理性
 5 新しい科学観に向けて

 II 人工知能を活用する――道具としての可能性

第5章 医療AIの倫理――倫理的な判断をAIが担う、未来の患者・家族・医療従事者関係[中澤栄輔]
 1 はじめに
 2 医療における倫理的判断をAIが行う可能性
 3 医療における倫理的判断と医学的判断の差異と連続性
 4 医療における倫理的判断をAIが行うことの倫理性
 5 おわりに

第6章 ナッジ&ブーストエージェントによる意思決定支援[小野哲雄]
 1 はじめに
 2 行動経済学におけるナッジとブースト
 3 ナッジ&ブーストエージェントの構想と実装
 4 人工知能の時代における課題と展望
 5 おわりに

第7章 創造性という知的徳を人工知能から学ぶ[植原亮]
 1 はじめに
 2 創造性をめぐる哲学
 3 AIの創造性
 4 AIによる知的徳の涵養に向けて

第8章 人工知能と人間らしさ[立花幸司]
 1 問題の所在――人工知能と人間らしさ
 2 「人間らしさ」としての徳
 3 人工知能を用いた徳の育成
 4 人工知能社会と人間の徳
 5 おわりに

 III 設計思想――よりよい道具を設計するために

第9章 設計の観点から見た人工知能[上杉繁]
 1 技術の予期しない使用
 2 設計と使用の隔たり
 3 人間‐技術関係の「型」
 4 人間‐AI関係への型の適用
 5 おわりに

第10章 人工物の倫理性と人工知能[堀浩一・関口海良]
 1 はじめに
 2 AIは社会においてどのような役割を担うのがよいか――1つの解としての自己適用
 3 倫理的設計を支援する有機的で動的なツール(Dfrome)の開発
 4 倫理的設計法の構築
 5 研究を通じて得られた知見の例――倫理がもつ創造活動支援効果のメカニズム
 6 AIの道徳性を考慮することの可能性や注意点

あとがき
人名索引
事項索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

shin_ash

8
仕事がら、DX的だったりスマート○○に関わる事業でデータやモデルの開発に関わっている。そう言う文脈で哲学は大事だと思うし、どのように見ているのか?にも興味があるので読んでみた。複数著者で前半の理論的考察と後半の実践的活用例の二部構成である。前半は読み応えがあり面白かった。後半は医療現場での運用の実践的取り組みは興味深かったが、他は段々ショボい話になって行くのがつまらなかった。後半も論理を考えて論理に合わせた実装・実践的な流れなのでどうしても竜頭蛇尾っぽくなる。本書の題意とはズレても構成論的に実践してから論2024/06/22

三月うさぎ(兄)

2
AIを「自律的な汎用人工知能」ではなく、「道具」として扱うという立場からの哲学・人文科学・医学・行動経済学・徳倫理学などからのアプローチ。三部構成で、理論→応用→設計理論という順番。読み応えのあるのは、第一部と第三部。 道具として見た時のAIが今まで発明されてきた道具となにが違うのかを、まず何よりも深層学習の「説明不可能性」に求めている。これに応答して、人間の理解そのものを拡張するための「数学的言語」を開発し「AIに説明させる」のではなく「人間がAIに歩み寄る」という論理展開がはっちゃけていて好きだ。2023/08/09

愛楊

1
2023年出版。道具的人工知能観を基にした、工学者や医学者、科学哲学者等による人工知能に関する論考集。この道具的人工知能観は出口康夫のAI親友論の対蹠点にあり、この人工知能観の対比は興味深い。また、深層学習が大量の学習データに拘束されているという指摘も、現在ではゼロショット(転移)学習によって解決されつつあるのかもしれない。編者によれば、本書は狭義の倫理的問題よりも広い観点から人文科学との接点を探ることを試みたものであるが、それはある程度達成されていると感じることができる。2024/06/12

kk

1
著者に送っていただいた本。自然言語処理を専門にするものとして読んだが、AIと哲学とひとくちに言っても色々な切り口があるのだなと思いました。そして哲学というとプラトンとかに戻っていくのですね。この頃人文系とのコラボをしているところなので、このあたりも興味深いなぁと思って読んでいました。2023/11/23

inaryoXD11

1
人工知能の働きとして、道具としてのものと、主体としてのものに分け、道具としての人工知能について哲学的な議論を展開している。このようなプロジェクトの成果で、人工知能の専門家はいなかったという。道具として使う上でも、使用場面その他で、いろいろな人との関わり方、人の関わり方があると認識。深層学習の正しさなど、確かにと思いあたるが、まだそこまで身近に感じていないため、すべてを理解することはできなかったと思う。知的な徳、道徳的な徳という人工知能を扱う人の徳についても面白い。もう少し哲学を掘り下げたいと観じた。2023/10/31

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