内容説明
ガダルカナル撤退後、最前線基地の防備と航空戦の継続という使命を負った草鹿は、補給が途絶えても破損機を修理して航空戦を展開、食料と生活必需品、さらには火薬や魚雷までを自力で生産する。また敬愛する山本長官の戦死、陸軍との友好関係が描かれる。巧みな人材登用によって終戦までを自給自足で戦い抜いたサバイバル戦記。
以下目次
1 まえがき(戦況のあらまし)
2 明朗豁達一意邁進
3 陸海軍の協同戦線
4 火山研究所と科学者の良心
5 嗚呼山本元帥
6 南東方面艦隊の歌
7 武功抜群
8 漂流記
9 気象観測
10 民政部の人々
11 洞窟生活(陣地構築)
12 施設作業の苦労
13 いかもの食い
14 現地自活
15 兵器類の製造
16 教育訓練の問題
17 医務衛生のはなし
18 珍客待てども来らず
19 輸送潜水艦の労苦
20 鼠輸送、蟻輸送
21 ラバウル海軍航空隊
22 終戦の憾み
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さきん
30
ガナルカナル島撤退、パラオ大空襲により、完全に制空権、制海権を失った海軍、陸軍は、補給を得られずもはや生活を維持するだけ流浪の民と化した。陸軍大将の今村均氏と連携しながら、自給体制確立に励む日々。戦争どうのこうのよりもひたすらそのためにおこなった研究や方策が綴られている。千葉県出身の冷凍庫を作る兵士や梅干しの代替品を開発したり、ハマユウを治療に使う者など職業軍人よりも民間人の活躍が著しい。梅干しの代替品なるものは食べてみたい。2021/11/29
まさ
2
読みやすい文章で、無駄に激昂興奮したりすることなく、その当時の事実と自分の感想を冷静に記載している。南太平洋激戦地の前線であり、非常な苦難があったはずだが、そのわかりきった暗さは感じさせずにその将兵や軍属たちの奮闘をむしろ愉快に書き記している。南方で自活しながら戦い続けた数万の若人たちへの感謝状。 世界を相手に戦いをしている司令官というのは、やはり山のような冷静沈着さと、決していたずらに誇らない豪胆さがあるのであろう。 非常に面白い2023/05/17
Monbe Sakai
0
トラック陥落後航空戦力を奪われて戦略的に放棄され、ほぼ補給がなくなった洞窟陣地での籠城(自活生活)の記録は、たいへん興味深く面白かったです。2024/07/11