内容説明
清朝の王女として生まれ、日本で教育を受け、祖国再興を画して上海にわたる。ジャンヌ・ダルクに憧れた少女時代や初恋の思い出を交えながら男装に至った経緯を語る。活動中にテロに遭遇、様々な危機を乗り越えながら使命に目覚めていく。巻末に熱河作戦従軍直後「婦人公論」に発表した手記を収録。伝説の「男装の麗人」による半生記を初文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
35
自伝とあるがライターが別にいた模様。男装の麗人てな言葉を知ったのはターキーこと水の江滝子絡みだったと思う。年は芳子の方が数年お姉さん。村松友視の祖父の梢風がズバリ「男装の麗人」と言う題名で昭和8年に発表している。コレが初出なのかなあ。混乱・混沌の時代が創り出したトリックスター。満州国に掛けられた夢と期待?大日本帝国がゴリ押しして創り上げようとした満州国って構図は分かり易いが、其ればかりでは無く別のベクトルもあったと知るべきであろう。続く2021/10/24
駄目男
14
戦時中、知日派として知られる、汪 兆銘なる人物がいたが国民党内にいたが、後に蒋介石と袂を分かって、1940年3月、南京に日本の傀儡政権である汪兆銘政権を樹立し主席となった。然し、1944年、名古屋市にて病死してしまう。その汪兆銘を表した伝記「人われを漢奸と呼ぶ」という本がある。 漢奸とは「かんかん」と読み、所謂売国奴のことで、捕まれば否応なく処刑されてしまうが、汪兆銘は終戦を待たず病死したので死刑は免れた。然し、本書の主人公川島芳子はそうはいかなかった。「東洋のマタ・ハリ」「満洲のジャンヌ・ダルク」2022/07/14
田中峰和
6
清朝の王の第14王女、何十人も生まれた子の一人だが王女であることは間違いない。川島家に養子に出され川島芳子として日本の女学校に通う。日本でも乗馬で通学するほどのお嬢さんとして育つが、国を救ったジャンヌダルクに憧れ、男装の麗人として知られるようになる。自伝とはいえ、身分の高い人なので祐筆がおり代筆している。本人の思想も含まれるが、清朝最後の皇帝溥儀の脱出を手伝うなど、手に汗握る展開はかなりの脚色がなされているのだろう。48年に40歳で銃殺されたとされるが、その後も生きていたとの噂があるのは中国らしい。2022/02/22
kiiseegen
4
少しの虚飾を含むとあるが、信じ難い様な話が多い様で・・・自伝を読めばスッキリとするかと思ったが。不思議な人だ。往事の雰囲気は充分に味わえたのだけれど。2021/10/20
Lilas
1
やんごとない身分に生まれた王女様が、自国を蔑み侵略する国で教育を受けるという気の毒な境遇。大事の周辺で、自意識過剰なぼんぼんがひとり芝居をしているような、読んでいても気恥ずかしい感じ。本人は大真面目だったのでしょうが。 2023/05/16