戦争と交渉の経済学:人はなぜ戦うのか

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戦争と交渉の経済学:人はなぜ戦うのか

  • ISBN:9784794226624

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内容説明

平和とは、敵同士が損得勘定で
戦争を避けることにほかならない

戦争が起きる「5つの原因」を、ギャングの抗争から世界大戦までの幅広い実例と、ゲーム理論で解説。
「戦争がある世界」をリアルに理解し、実効ある「平和への道」を考えるための必読書。

戦争の原因は5つしかない

【内容より】
◎平和は必ずしも平等や公正を意味しない
◎取引で敵を譲歩させるのに必要なのは「脅す力」
◎敵が軍備拡張する前に攻撃したい…「予防戦争」
◎「女性リーダーは平和をもたらす」とは言えない
◎国連などの国際機関は戦争防止には無意味か
◎経済制裁・和平調停・PKO等に効果はあるか

暴力や戦争については、数十年にわたり、経済学や政治学、心理学で研究され、さらには現実世界での介入の知見が蓄積されてきた。そして、そこからいくつもの直観に反する洞察が得られている。
その1つが、「人々はめったに戦わない」ということだ。世界には何百万もの敵対する集団の組み合わせがあるが、暴力に発展するのはそのごく一部に過ぎない。ほとんどの敵同士は、取引で何らかの妥協をし、非暴力的に互いを憎み合うことを選択する。理由は簡単で、戦争はコストがかかり過ぎるからだ。戦争は、利害の対立を解決するには最悪の方法なのである。
2つ目の直観に反する洞察は、「戦争の原因は少ない」ということだ。本書では、戦争の原因が、たった5つに類型化できることを示している。取引を拒絶し、大きすぎるコストも厭わず戦争に突入する原因は、5つしかないというのだ。
では、どうすれば平和は実現するのか。本書では、敵対する集団同士が平和を望んでいる場合には、驚くほど簡単に暴力は終結し、ギャング同士でさえもそれを行っていることが示される。より困難な状況下でも、先の「5つの原因」に取り組むことで、暴力の動機を減らし、取引に向かう動機を増やせることが、実例とともに明らかにされる。
本書は、「戦争がある世界」をリアルに理解し、実効ある「平和への道」を考えるための必読書である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

36
平和とは敵同士が損得勘定で戦争を避けることにほかならない。戦争が起きる「5つの原因」を前提に、戦争がある世界をリアルに理解し、実効ある平和への道を考えるための一冊。戦争の原因となる「抑制されていない利益」「無形のインセンティブ」「不確実性」「コミットメント問題」「誤認識」を取り上げ、ギャングの抗争から世界大戦までの幅広い実例とゲーム理論で解説していて、実際は多くの事例では妥協で戦いをでできるだけ回避していること、5つの原因を回避するために何ができるのか、慎重で着実なアプローチの重要性を改めて実感しました。2023/08/27

owlsoul

9
立て続けに戦争が起こり、人類の未来に対して悲観的な想いを抱いてしまう昨今。だが以外にも、人類は暴力的な争いを回避する強いインセンティブを持っているという。アフリカでの大きな民族抗争は、衝突の可能性がある2000組の内、年間1組程度しか起こらない。ギャングの抗争は1回の武力衝突に対して、交渉と取引により衝突を回避した事例が1000件もある。暴力的な争い、つまり戦争は人類にとって大きなリスクなのだ。にもかかわらず、今なお戦争が絶えないのはなぜなのか。著者はその原因を5つのカテゴリーに集約し、丁寧に解説している2024/04/25

Hiroo Shimoda

5
日本に照らすと「抑制されていない利益」と「コミットメント問題」が課題になるのだろうか。無形のインセンティブ、不確実性、誤認識はある程度対処されているように思う2023/12/30

雪駄

5
カルロ・ゼン氏がオススメしてたので購入。固いタイトルだがすごく読みやすい本だった。紛争当事者や調停者のような人でなくとも、生きていれば様々な利害の対立に組み込まれる訳で、自分のような一般会社員にとってもかなり学ぶことが多かった。会社組織の人間関係や組織としての内部統制にも当てはまるなーと読んでいた。日本の総理大臣はパっとしないヤツばっかと思ってきたけど、恒久平和の為にはカリスマ超有能独裁者の発生自体が重過失なわけで、争いを避ける仕組みが働いている証拠かもしれんと慰めになる。より多くの人に読んでほしい本。2023/11/11

Shunsuke

3
ゲーム理論をもとに戦争の原因を探っていく。著者はアフリカの紛争地帯でフィールドワークの経験あり。平和への引力と戦争への引力がそれぞれあり、綱引きのようになっている、という視点はもっと広まって欲しいと思う。ややますれば人は戦争が起きると「〇〇(民族、宗教、資源など)が原因で戦争が起きた」と判断してしまうがそれは間違い。たとえ中東のような地域でも戦争は非日常なのである。どんなときでも交渉の余地がある。2023/11/09

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