内容説明
指揮者の役割とは? 指揮の上達法とは? 暗譜のコツと大失敗、意外と多い指揮台からの落下etc. 世界的マエストロで名エッセイストが明かす、楽しくてちょっとためになる「指揮」の秘密。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムーミン2号
9
岩城さんのエッセイを読むのは三冊目である。音楽好きとしては遅きに失し、かつ量的にも極貧状態だ、などと今更ながらに思う。単なる音楽好きにはエピソードのいちいちが面白い。ベートーヴェンの「運命」の第一楽章で、指揮者は何回腕を振り下ろすか、なんて真面目に計算するような指揮者が世界のどこにいようか。そんなことを知ったからといって指揮がわかるわけでも、ベートーヴェンがわかるわけでもなく、単にバカバカしいだけなんだけど、そのバカバカしいことにも真面目に一所懸命取り組むのが岩城さんであった。だから本書は面白い。2023/12/31
huchang
6
『大物指揮者になるための一番の近道は、ユダヤ人になることだ』という12章の文中の言葉は、旧Twitterの不動産投資で成功するハックを教えますみたいな投稿にあった「まず、地主の家に生まれます」というブラックすぎるエスプリと相通ずるものがあって忘れられん。嫌いじゃない程度の指揮者だったが、一気に好きになった。しばらくはクラシックばかり聞いて過ごすことになりそう。あたしゃすーぐ影響されるんだ(笑)2024/02/16
エディン
6
指揮者について、オーケストラの中心でかっこいいなと思っていたが、知らないことだらけでした。楽譜を見ながら指揮をする曲と暗譜で振るときがあること。楽譜も膨大な量があること。腰や肩などを痛めることがあること。指揮者が間違えると、曲全体が止まってしまうこともあること。「指揮のおけいこ」と言うことで、指揮者を目指す人に向けて書かれている部分もあるようで、ちょっと難しい部分は飛ばし読み。2024/01/19
みかん
5
病気に関する下りで、若い頃の映像を見返すと力が無駄に入っていたと振り返る場面がある。指揮に限らず、全てに通じる話のような気がして、興味深かった。外山雄三さんと山田和樹さんのあとがきを読むと本文と印象がかわる。それはつまり、サービス精神旺盛な方だったということだろう。2023/04/16
Ayana
4
最初のあたりは「女性は指揮者に向かない」とか偏屈なことを言うから「何を〜!?」という思いで読んでいたのですが、読み終えたらすごく好きになっている自分がいました。魅力的です。指揮を生で観てみたかったです。最後の山田和樹さんの解説を読んだらちょっと泣きそうになりました。戦後、燕尾服をヤミ屋から買っていた話なんかも面白かったです。2023/09/01