内容説明
メイクピースはずっと母とふたりで暮らしていた。悪夢にうなされるたび、母は怒った。メイクピースは幽霊を憑依させる体質だから、抵抗しなければいけないというのだ。そんなある日、ロンドンで暴動に巻きこまれ、母が命を落としてしまう。残されたメイクピースのもとへ会ったこともない亡き父親の一族から迎えが来た。父は死者の霊を取り込む能力をもつ旧家の次男だったのだ。父の一族の屋敷で暮らし始めたメイクピースだったが、屋敷の人々の不気味さに嫌気がさし、逃げだす決心をする。『嘘の木』の著者が17世紀英国を舞台に描く歴史大作。/解説=杉江松恋
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
naoっぴ
42
霊を自分の脳内に取り込む特殊体質の少女メイク・ピースの冒険と成長の物語。彼女は実はイギリス名門貴族の庶子で、同じ能力をもつ一族の霊たちの器にされそうになり、逃げる決意を固める。ハーディング三冊目、今回も次から次へとふりかかるピンチにはらはらした。少女の中にいる三人+謎のひとり=4人との脳内の話し合いなど、ファンタジーならではの斬新なアイデアが満載。清教徒革命の知識がないためかたまに読みづらさも感じたけれど、古い慣習に立ち向かい正していく少女の強さに勇気をもらえた。2024/04/17
ワッピー
34
母と二人で暮らしていたメイクピースは「見える」体質で、それを嫌った母親は夜になると墓地の礼拝堂に閉じ込め、克服するように強いる。ある夜、逃げ出した彼女は街で勃発した暴動の中で母親を失い、父親の一族である旧家・フェルモットの屋敷に引き取られる。しかし、そこで行われていたのは、始祖たちの霊を一族の若い肉体に憑依させるおぞましい儀式だった…。ヴァンスの怪作「ノパルガース」を思い出す内容でしたが、彼女が苦痛に満ちた道のりを内なるケモノを味方につけて道を切り拓いていく苦闘と成長、ラストのカタルシスに喝采! ⇒2025/01/03
Kotaro Nagai
17
2017年の刊行。長編8作目。前作は「噓の木」。主人公メイクピースは15歳の少女で舞台は清教徒革命直前の17世紀英国。彼女が12歳の時ロンドンの暴動に巻き込まれ母を亡くし父方の古い貴族に引き取られる。彼女はこの貴族の非嫡出子で、この貴族が持つ特殊な能力、幽霊(というか魂)を取り込むことができる力を受け継いでいた。ヒロインは王党派と議会派との争いに巻き込まれ、父方貴族一族に追われ何度も窮地に陥るが持った能力と勇気と機転で切り抜けていく。英国伝統の幽霊譚と奇想天外に満ちたヒロインの冒険が楽しめる作品でした。2024/11/28
みなみ
9
幽霊を憑依させる特殊能力を持つ少女・メイクピースは父親の屋敷に引き取られる。時あたかも清教徒革命の時代。一族の屋敷から抜け出した彼女は王党派と議会派の戦いに巻き込まれながらも困難を次々と機転で乗り越える。自らの能力で味方を増やし、最後は一族と対峙する。少女の成長と冒険の物語。個人的には前半のお屋敷ストーリーの閉塞感とハラハラ感が好みだった。後半は週刊連載漫画みたいなどっちに転ぶかわからないライブ感が凄いが、そのぶんイベントクリア「出来ちゃう」感を感じなくもないので……2025/01/15
シャルたん
5
彼女の物語は、困難に立ち向かっていく自己形成小説が特徴ですね。これは舞台設定とキャラ設定が秀逸。ピューリタン革命前の1634年頃のイギリスの激動の時代が舞台。主人公の血は霊を憑依させた上、共存できるという⋯不気味で奇抜なアイデア。魂の扱い方よ‼️ 10〜15歳。ほんの子供。天涯孤独の身で、主人公は逞しく大胆に周到に準備していく。生き残るために誰を信じて共存するか?見守っていたくなる。 内なる声は、 思えば記憶の中で生きる人も、小説の登場人物も、その一部かもしれない。 味わい深いゴシックファンタジーだった。2025/11/13




