内容説明
U国MD州で現金輸送車襲撃事件が発生。襲撃犯一味のワゴン車が乗り捨てられていたのは、遠く離れたA州だった。応援要請を受け、マリアと漣は州都フェニックス市へ向かう。警察と軍の検問や空からの監視が行われる市内。だがその真の理由は、研究所から脱走した、二十年以上前に連続殺人を犯した男『ヴァンプドッグ』を捕らえるためだった。しかし、『ヴァンプドッグ』の過去の手口と同様の殺人が次々と起きてしまう。一方、フェニックス市内の隠れ家に潜伏していた襲撃犯五人は、厳重な警戒態勢のため身動きが取れずにいたが、仲間の一人が邸内で殺されて…!? 厳戒態勢が敷かれた都市と、密室状態の隠れ家で起こる連続殺人の謎。マリアと漣が挑む史上最大の難事件! 大人気本格ミステリシリーズ第5弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
278
短編集はまだ読んでおらず、前長編からかなり間が空いた。『ABC殺人事件』や『九尾の狐』を彷彿とさせる劇場型の事件に、『屍人荘の殺人』以降のジャンルミックスも盛り込んだ意欲作であり、エンターテイメント性は シリーズ屈指。惜しむらくは、推理のロジック面がかなり甘く、「~だろう」「~ではないか」という憶測決め打ち台詞がかなり目につく。襲撃犯パートの必要性が弱く、むしろ、あまりにも都合よく面子が揃って、勝手に真犯人に有利な行動をとっていくことが減点の対象にすらなる。ともあれ、今後も追っていくだろうことはたしか。2023/09/13
しんたろー
117
マリア&漣シリーズ5弾は、現金輸送車襲撃事件と連続殺人犯脱走が重なって、全く先が読めないサスペンス。そこに、吸血鬼化する人間や相次ぐ密室殺人が盛り込まれ、ホラー+SF+本格ものと娯楽要素が満載で大サービスの内容。このシリーズは特殊設定が多い割に、不思議と現実感があるのが特徴だが「今回ばかりは無理がある?」と途中までは思ったが、終盤にキチンと解明され、伏線回収も納得。マリア&漣のコンビは健在だし、過去の登場人物たちも巧く絡んできてファンには嬉しい。最後の最後に次への期待を煽るような宿題を残しているのも憎い。2023/11/22
yukaring
69
20年以上前に捕まった殺人鬼「ヴァンプドック」が研究所から脱走、また時を同じくして起こる現金輸送車襲撃事件。そして厳戒態勢が敷かれたフェニックスで次々と起こる不可解な連続殺人。オカルト色も漂う展開に引き込まれる、シリーズの中でも最高に面白い1冊。緊迫感せまる街に助っ人として呼ばれたマリアと漣。しかし過去の「ヴァンプドック」と同じ手口の殺人事件が次々と起きてしまう。その頃、潜伏中の襲撃犯達の身にも同様な出来事が・・。不気味で不可解な事件に二転三転する大仕掛け、解き明かされる真相は驚きで目を見張るものだった。2023/11/12
aquamarine
68
シリーズ5冊目。現金輸送車襲撃犯達が逃亡中に立ち寄った隠れ家での出来事インサイドと、研究所から脱走したヴァンプドッグと呼ばれる20年前の連続殺人犯を捕えようとする警察側のアウトサイドの2つの物語が交互に語られる。ストーリーを追う間に1~4冊目の重要人物が次々と登場することもあり二段組にも関わらずぐいぐいページをめくった。途中でキーになる人物等、ある程度分かった気でいたがそれだけのはずもなく、今回も想像もつかない練られた特殊設定に圧倒された。今後はシリーズを通じてどんなドラマが展開するのかも楽しみだ。2023/10/22
Ikutan
65
マリア&漣のとびきりキャラが謎を解き明かすシリーズ第5弾。2段組で読み切れるかと心配したが、今までで一番読みやすかった。現金輸送車襲撃事件が発生。襲撃犯の五人はフェニックス市内の隠れ家に潜伏。一方、20年以上前に連続殺人を犯した男、ヴァンプドッグが研究所から脱走。過去の手口と同様の殺人事件が次々おこる。そして隠れ家に潜伏していた襲撃犯のリーダーも同様の手口で殺された…。喉に噛み付いた際の歯形を隠すために、喉を切り刻むヴァンプドッグ(吸血犬)。ファンタジーな特殊設定と本格ミステリで楽しく読了。次作も楽しみ。2023/11/03