内容説明
雪嵐の日、ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは10年ほど前、もっとも利口で、もっとも巧妙で、もっとも成功確実な殺人が登場する犯罪小説8作を選んで、ブログにリストを掲載していた。ミルン『赤い館の秘密』、クリスティ『ABC殺人事件』、ハイスミス『見知らぬ乗客』、アイルズ『殺意』……。捜査官によると、そのリストの“完璧な殺人”の手口に似た殺人事件が続いているという。犯人は彼のリストに従って殺しているのか? 著者のミステリーへの愛がふんだんに込められた、謎と企みに満ちた傑作長編!/解説=千街晶之
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
230
ページターナーな本である事は間違いない。しかし読んでる最中、絶えず不安に付き纏われる本でもある。書き手である「私」がいわゆる「信頼出来ない語り手」あるのがその理由。いや実はこうだったんです、さらにああだったんです、と読者は何度も裏切り続けられる。いや、面白い本である事は間違いない。しかし読後感は決して良くないのだ。俺はどちらかと言えばミステリーは好きな方だと思うけど、まだまだ知らないミステリーも沢山あって、読んでみたいなと思わせる物もまた沢山紹介されており、マニアには堪らない作品だろうな、とも思った。2024/04/04
stobe1904
117
【8つのミステリ名作をモチーフにしたサスペンス】ミステリ専門書店主のマルコムは、以前ブログに掲載した完璧な殺人を描く8つのミステリ作品について、FBI捜査官の訪問を受け、8つの作品に似た手口の殺人事件が発生している可能性があると告げられるが…。8つの作品の半分は既読だが、ミステリ作品への著者の思いがまず伝わってくる。ミステリとしては物足りないが、著者の特徴である先行きの不安定さを軸にしたサスペンスタッチは際立っている。グレーな余韻を持たせたエンディングもこの作品では効果的。★★★★★2024/11/16
yukaring
113
ミステリマニアの作者がミステリ好きの読者へ贈るミステリ愛がたっぷり詰まった作品。名作ミステリがざくざく登場するが半分も読めてなかったのが残念。ミステリ専門店の店主マルコムが昔ブログに書いた「完璧なる殺人8選」という作品リスト。その手口を真似た殺人が行われている疑いがあると言われ、戸惑いながらもFBI捜査官のグウェンと共に取上げた作品を再び読み解いていくマルコム。名作ミステリへの見事なオマージュとスワンソンらしい信用できない語り手と絡み合いが素晴らしく、最後まで全く気を抜けないスリリングな面白さを堪能した。2023/09/21
遥かなる想い
105
2024年このミス海外第8位。 ミステリー専門書店の店主マルコムがブログに 書いた完璧な殺人八作…この手口に似た 殺人が続く謎を追う。 作中に出てくるミステリーの名作が素直に嬉しい。いったいマルコムはどこまで 真実を語っているのか?そして FBI捜査官は何を知っているのか?最後も 名作へのオマージュの意味合いが強い、そんな作品だった。 2023/12/16
あっちゃん
85
この作家さんは毎度当たりに決まってるという事で読み始めたけど最初のうちは少し思わせぶり過ぎてアレ?と思ったけど途中からグイグイ来た(笑)8つのうちほぼ読んでないけどクリスティは全部読了済みなのでセーフ!それにしても信用出来ない語り手タイプのミステリーは読後感が( ̄ー ̄)2024/01/04