内容説明
ストリップ小屋を舞台にした人情噺集。
浅草六区の映画街で、ストリップ小屋の隣にバラックを建てて住み着いていた廃品回収業のイサム。関東大震災時に頭を打った影響で、言動は少しおかしいが、生真面目な性格から楽屋番のおばさんをはじめ周囲の人からかわいがられていた。
毎年春になると、踊子の一人を好きになり、線のつながっていない電話機で電話をかける。やがて妄想の相手と恋人同士になり、熱い日々が続くが、踊子に本当の恋人ができると……。
イサムのユーモラスだが悲しい恋を描いた表題作のほか、厳しい刑事とストリッパーのほのかな恋を綴る「入歯の谷に灯ともす頃」、重要文化財の天狗の面を、あらぬことに使ってしまう「天狗の鼻」など、いずれ劣らぬ名調子6篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
桜もち 太郎
15
50年前に文藝春秋から出版された単行本を底本にした短篇集。浅草六区のストリップ小屋を舞台にした物語が主となっている。華やかな舞台でストリッパー、裏方の進行役たち、警察との攻防が昭和臭く描かれている。異色だったのは「いけにえ」だ。義母を殺そうとする娘が逆に殺されそうになる。少し怖かった。表題作は関東大震災で頭を打った影響で、言動がおかしくなったイサム。踊り子に春がくるごとに恋をするが叶うわけでもなく一人で生きていく。線の繋がっていない電話での会話が悲しすぎた。今でもどこかにストリップ小屋ってあるのだろうか。2026/05/03
zatugei
0
40年以上前に読んだ。再読。内容はまったく忘れていた。宮部みゆきを連続読みしていたので、情景描写の粗さを感じたものの、それを越えた印象深さに驚く。浅草という町とそこに蠢く人たちの、一風変わったコミュニティとその生活を、情感豊かに描く。情感に流されず、高見の見物ではなく描いている。実在の町と人をこれだけ描く力量に脱帽。2025/03/26
明るいくよくよ人
0
昭和の風情が感じられる小説です。 文章も、昭和っぽいですねぇ。2024/05/14




