集英社文庫<br> 水を縫う

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集英社文庫
水を縫う

  • 著者名:寺地はるな【著】
  • 価格 ¥638(本体¥580)
  • 集英社(2023/07発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087445213

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内容説明

松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、かわいいものや華やかな場が苦手な姉のため、ウェディングドレスを手作りすると宣言するが(「みなも」)。いつまでも父親になれない夫と離婚し、必死に生きてきたけれど、息子の清澄は扱いづらくなるばかり。そんな時、母が教えてくれた、子育てに大切な「失敗する権利」とは(「愛の泉」)。世の中の〈普通〉を踏み越えていく、清々しい家族小説! 第9回河合隼雄物語賞受賞作品。

目次

第一章 みなも
第二章 傘のしたで
第三章 愛の泉
第四章 プールサイドの犬
第五章 しずかな湖畔の
第六章 流れる水は淀まない

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

エドワード

81
松岡家の姉の水青は女の子らしい格好が苦手、弟の清澄は刺繍や手芸が大好きだ。近く結婚する水青の「リボンもレースもフリルもいらない」ウェディングドレスを自分が作る、と意気込む清澄。水青の女の子らしさ嫌いの理由が重い。最近よくあるジェンダーフリーの物語と思いきや、はるかに越えた家族愛の物語だ。二人の離婚した両親、市役所勤務のさつ子とデザイナーの全、祖母の文枝等の目から見た家族の日々は、多少雑だけど愛に満ちている。清澄の才能は父親譲りかな?行き詰まったドレスを一日で仕上げる全がさすが。二人の名前の由来がいいね。2023/07/18

紫 綺

70
単行本にて読了。川の流れのように緩やかに、あるいは激しく。それでも川は流れ続ける。「ふつう」って何?「当たり前」って何?問い続けながら流れていく6人の家族の物語。2023/11/10

セシルの夕陽

57
好き♡ ジワジワ胸に迫り涙腺が緩んだ🥹 女らしさ、男のくせに…社会からの抑制に抗いたい。でも、刷り込まれた価値観が呪縛にもなっている。そんなテーマは「大人は泣かないと思っていた」に通ずる。刺繍が好きな高1男子:清澄は、かわいいものが苦手な姉:水青のウエディングドレスを、手作りすると宣言。各章は清澄、水青、母、祖母など、語り手が入れ替わる。それぞれが、社会からの抑圧にモヤモヤしながらも、それを上手く表現できず、不器用に生きている。全員を抱きしめたくなった🧡 ジェンダー後進国、変わっていかないと、ね。2023/05/29

三代目けんこと

50
らしさ。2023/08/14

ケ・セラ・セラ

47
手芸(刺繍)好きな男子高校生を主人公に据えた一冊かと思っていたらそうではなかった。各章、彼と彼の家族や登場人物たち視点で語る作品。彼らはそれぞれに世間がはめる型へモヤモヤした違和感を抱き続け、社会からの押し付けに抗って生きている。ヒリヒリ痛いほどの各人の章から、終盤にかけドレスが形になっていくさまには溢れるような思いが押し寄せ、胸が熱くなった。どの人物にも共感できる良作。2023/07/24

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