枯木ワンダーランド - 枯死木がつなぐ虫・菌・動物と森林生態系

個数:1
紙書籍版価格
¥2,640
  • 電子書籍

枯木ワンダーランド - 枯死木がつなぐ虫・菌・動物と森林生態系

  • 著者名:深澤遊【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 築地書館(2023/07発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784806716532

ファイル: /

内容説明

樹木が枯れて土に還っても続く彼らの営みから、微生物による木材分解のメカニズム、意思決定ができる菌糸体の知性、林業や森林整備による林床からの枯木除去が生態系に及ぼす影響、倒木更新と菌類の関係、枯木が地球環境の保全に役立つ仕組みまで、身近なのに意外と知らない枯木の自然誌を、最新の研究を交えて軽快な語り口で紹介する。

目次

はじめに

1 枯木ホテルの住人たち

第1章 コケ─エメラルドシティ
コケ少年
コケは倒木の上に
共生バクテリアの窒素固定能力
クマの縄張りで調査
コケの微塵切り
コラム フィールドノートから

第2章 変形菌─森の宝石
変形菌との出会い
大学キャンパスの変形菌
変形菌に来る虫
都市公園の変形菌
変形菌の飼育実験
変形体は何を食べるのか─安定同位体分析
変形菌のお食事メニュ
コラム フィールドノートから

第3章 キノコ─記憶し決断するネットワーク
キノコはかりそめの姿
黒光りする糞
生きた葉に潜む内生菌
落葉の分解プロセス
カワウの糞の影響を調べる─リターバッグ法
菌糸の養分輸送力
菌糸体を飼う
菌糸体の記憶力・決断力
成長方向を決める菌糸の記憶
菌糸体の知能
コラム フィールドノートから

第4章 腐生ラン─菌を食う植物
菌根菌ネットワーク
森林の〝境界〟
地下の菌と地上の植生の関係
菌糸を介した植物間の炭素のやりとり?
炭素を菌に依存する植物
木材腐朽菌を食べるラン
炭素年齢で炭素供給源を探る
腐生ランの種特異的な関係
枯木に絡みつくタカツルラン
新たな疑問
コラム フィールドノートから

第5章 動物たち─庭の丸太実験
庭に置いた丸太
丸太に来たリス
リスはどうやってキノコを見つけるのか?
コケの分散を助けるリス
ビスコの昆虫群集─カメムシ・ケシキスイ・チビヒラタムシ
穿孔性の昆虫たち
昆虫と腐朽型の関係
菌が作るニセの卵、ターマイトボール
コラム フィールドノートから

第6章 まだ出会っていない生き物たち─環境DNAで〝見える化〟
見えない微生物を見えるようにする技術
ポリメラーゼ連鎖反応
環境中の有象無象のDNAを読む
バクテリアによる窒素固定
菌類を乗りこなすバクテリア
マイコウイルス研究が熱い
コラム フィールドノートから

2 枯木が世界を救う

第7章 木が「腐る」─お菓子の家で考える
「分解」の重要性
樹木の死
樹洞を作る菌
森の土に埋まる宝物〝肥え松〟
お菓子の家の話
セルロースを守るリグニン
腐朽菌の生き方─どうやってお菓子を食べるか
食べ残しが土を作る
腐朽菌の多様性が高いと分解が遅くなる?
適度に食われて分解促進
コラム フィールドノートから

第8章 森が消える─樹木の大量枯死
北米のマツの大量枯死
ヨーロッパのトウヒの大量枯死
伊勢湾台風がもたらした大台ヶ原の風倒被害
北八ヶ岳の風倒跡地
マツ枯れ
ナラ枯れ
森林火災─木炭化が与える影響
火入れで生態系はどう変わるのか
コラム フィールドノートから

第9章 枯木が消える─喪失を取り戻せるか
エルトンと枯木
枯木ロスによる生物の絶滅
絶滅の負債
絶滅速度の推定
絶滅危惧種
日本の絶滅が危惧される菌類
胞子の散布距離
サルベージ・ロギング─枯木撤去の長所と短所
枯木や老齢木を作り出す─保持林業
ベテラナイゼーション─古木に親しむ
コラム フィールドノートから

第10章 枯木の恩恵─生態系サービス
森林バイオマスの利用は〝環境にやさしい〟のか?
誰もが受けている生態系サービス
世界と日本の森林炭素貯留量
温暖化はシロアリの枯木分解を促進する?
巨木や老齢林の炭素貯留はすごい
枯木の貯蔵庫Wood Vault
生態系の安定性とバイオマス利用
コラム フィールドノートから

第11章 次世代の森へ─倒木更新
倒木更新との出会い
東京都立東大和公園
マツ枯れの倒木は実生のホットスポット
倒木更新の王道、トウヒ
コケと腐朽型と菌根菌と実生の関係
森林攪乱や気候の影響
トウヒを追ってヨーロッパへ!
スギも倒木更新する?
倒木更新と腐朽型の関係
コラム フィールドノートから

おわりに
参考文献
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マリリン

43
まさに枯木ワンダーランド!  各章のタイトルに惹かれフィールドノートに惹かれ...図書館本だが再読必須。コケ・様々な菌類・キノコ・虫や動物たちがひしめき合い静かに大地を育む自然の営みは、ただただ感嘆。森林火災が与える意外な影響。キャンプの炭の放置問題。人工林は枯木が残らない。枯木に依存している生物たち。誰もが受けている生態系サービス。神社合祀は、貴重な生物が減少するとして反対運動した南方熊楠。昆虫群集のバランス整えることと害虫の発生の関係。東大北海道演習林や、神奈川県にある生命の星地球博物館に興味あり。2023/12/17

ばんだねいっぺい

28
大好きなタイプの本。荘子は、枯れ木をさして「無用の用」を説いたというが、やっぱり、枯れ木は、有用だった。菌糸ハイウェイのかっこよさには、度肝抜かれたし、AM菌とECM菌による見えざる境界にもはっとした。庭木を観察したが、心材は、たしかにそうだった。炭素流通を考えた木材加工処理をしなければならない。2024/07/15

びぃごろ

9
小学生時代はコケ少年。その後、粘菌・キノコと着々とその道を進み、現在はそれらが網羅されている枯木の研究をしている著者。枯木に集まる生物の多様性と相互作用、生態系の中での役割が語られている。炭素貯留にも重要な働きをしている枯木が、再生可能エネルギーの単なる燃料としてしか認識されない風潮に危惧を抱く。森林だけでなく「枯木」からも多くの恩恵を受けていることをこの本で知るのだ。樹木の大量枯死が起こったとき枯木の伐採、搬出でキレイに片付けられると、枯木依存の生物が脅かされ、森林自体の回復が遅れることもあると。2023/10/26

Re哲学入門者

7
思ったよりも硬くない本。枯木って昆虫が住んでたり、キノコが生えたりするだけの目立たない存在だと思っていたが、これからは森へ言った際枯木に目を向けてみようと思える一冊。2025/04/02

kamekichi29

6
枯れ木を中心とした生態系の研究の紹介など。枯れ木は生態系の中で重要な役割を果たしているというのがよくわかります。また炭素貯蓄という役割も果たしているということ。山歩きとか行くと、枯れ木に目がいきそうです。2024/09/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21042398
  • ご注意事項

最近チェックした商品