内容説明
人気植物学者が贈るサイエンスミステリー。
生命の本質に迫る一週間には、驚きの結末が……。
極上の読書体験間違いなしの一冊。
大学で植物学を教える教授のもとに
ある日、届いた一通のメール。
内容は植物にまつわる素朴な質問……のはずだった。
質問に誠実に答えようとすると、
どうしても考えなければならない問題がある。
生命とは何か?
死とは何か?
生きるとは何か?
ある一週間における
植物学者の思索の物語。
※カバー画像が異なる場合があります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
113
植物学者である稲垣先生の思う壺のように惹き込まれる:他の生物を食べるしかない動物に比べ、光合成によって自らエネルギーを作り出せる植物の方が優れている。千年生きる「樹木」より一年の「草」の方が遥かに進化している(進化のスピードアップ)。植物の細胞は分化全能性があり栄養繁殖が可能だから、三倍体が存在できるなど…。そして最後に、そもそも単細胞生物は不老不死だったのに(細胞分裂)、それが、なぜ老いて死ぬ生物に進化したのかと問題提起する。生物とは、進化とは、そして死とは何かを考えたくなる、とてもいい本だと思う。2023/10/24
みき
61
良書。これは面白いし。学者さんが自分の専門分野外の人に向けて書いた本にハズレはないという原則通りの本。木は生きてえいるのか、植物は死ぬのかなど、あまり考えたことがないであろうことに思いを馳せていく。本書内の大学教授の思考が面白くコーヒーを飲んでは、思想を膨らませていく。「細胞は新しく作られているのに何故老いるのか」などという問いは問われるまで疑問にすら思わなかった。2023/09/19
クリママ
43
1週間が強調されていたので、その間に何か出来事があったのではと思ったが、1日1通ずつ7日間、生徒から来たメールに答える形で構成された植物の話。植物は何故動かないのか、植物と動物の違いは、植物に死はあるのかという問いが、哲学的な問題に発展していく。わかりやすく、読みやすいのはいつもの稲垣先生。でも、私とは何か、生きるていることとは何かというと問いには、簡単に答えを出せない。その中で、樹齢100年以上、人間より長く生きているの木が、その時の人の都合で伐採されるのは納得できなかった。2024/03/23
おせきはん
35
学生からメールでの質問に答える形で、植物、そして生命について論じています。草と木の関係、接ぎ木の仕組みをはじめ、植物に関する興味深い話が盛りだくさんでした。2023/10/07
kan
31
勤務校図書館の新着本。稲垣先生が、いつものあたたかで優しい目線で植物の進化や生存戦略をエッセイ調で解説してくれる。生命をリレーするための死、遺伝子の乗り物としての生物、植物の死の概念、接ぎ木やクローンなど、普段生活している中では持たない視点での植物論、生命論が新鮮で、なるほどと思う部分が多かった。中学生や高校生にも無理なく読める、植物やヒトなど生き物の命とは何なのかを考える入門書で、楽しく読めた。2024/01/13