内容説明
第42回吉川英治文学新人賞受賞作!
祝デビュー10周年!
時間も金も、家族も友人も贅沢品だ。
息詰まる「現代」に風穴を開ける、「響け! ユーフォニアム」シリーズ著者の代表作!
遊ぶ時間? そんなのない。遊ぶ金? そんなの、もっとない。学費のため、家に月8万を入れるため、日夜バイトに明け暮れる大学生・宮田陽彩。浪費家の母を抱え、友達もおらず、ただひたすら精神をすり減らす――そんな宮田の日常は、傍若無人な同級生・江永雅と出会ったことで一変する!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
153
『愛されてたら、子供はなんでも許さなきゃいけないわけ』。3人の大学生が置かれた状況に光を当てていくこの作品。2021年に第42回吉川英治文学新人賞を受賞したこの作品には、三人それぞれに『毒親』に苦しめられながら生きてきた女性たちの姿が描かれていました。「愛されなくても別に」という書名に込められた武田さんの描写に息を呑むこの作品。そこに累計200万部を売り上げた武田さんの筆力を感じるこの作品。十代の青春を生きる女性の内面を鋭く描く物語。切れ味鋭く描かれていく圧巻の物語にただただ酔う他ない傑作だと思いました。2024/12/08
なつくさ
43
初読みの作家さん。すごく良かったです。ー私は私でいたいのに、自分でも気付かないうちに世界のルールに取り込まれているー この物語の魅力をどう伝えればいいのだろう。絡みつく棘を燃やすような物語。少し乱暴な言葉を使うなら、クソみたいな社会のクソみたいな常識を笑い飛ばしたくなる物語。宮田と江永の会話が心地よく頭に流れ込む。雪下まゆさんの素敵なイラスト。宮田の目が訴えかけてくるようで手を伸ばしたら、そこに救いがあった。多くの人に読んでほしい。2023/07/30
よっち
37
学費と家に月八万を入れるため、日夜バイトに明け暮れる大学生・宮田陽彩。浪費家の母を抱え友達もおらず、ただひたすら精神をすり減らす彼女が、傍若無人な同級生・江永雅と運命の出会いを果たす青春小説。自分は母親に愛されていると思っていた陽彩が、訳ありの江永雅と出会ったことでようやく気づいた衝撃の真実。それが当たり前だと思わされ、がんじがらめに囚われていた登場人物たちが抱えるしんどさはあまりに重く心揺さぶられましたが、だからこそその呪縛を断ち切り、未来に希望を見出そうとする彼女たちの決意を応援したくなる物語でした。2023/07/14
かさお
36
自分の時間と金と夢の全てを母親に搾取される少女と、父親が殺人犯で母親から売春をさせられてきた少女が出会ったシスターフッド小説。言葉ほど中身は重く描かれていない。私が思ったのは、親というものは子供の事を〔自分のルールで扱っていいもの〕〔愛情あってのマイルールは伝わるし許されるもの〕だと過信しているんだな、という事。もう1人、過干渉な毒親から逃げようとした少女が出てくる。金に不自由してないので当然彼女達は分かり合えない。でも、辛さや痛みは比べられない、彼女達が大人になった時、それに気づいてほしいと思った。2023/09/17
けえこ
29
毒親から逃げた女子大生2人のシスターフッド物語。 「許すかどうかの選択は、宮田がしていいんだよ……何を選ぶかは、宮田の持ってる権利だから」 ひどい親からは逃げるべき! 一方的に支配・搾取される関係からは逃げていいんだよ?それが血の繋がった家族であっても。 2025/08/08