内容説明
世界が終わるとき、やってくる。
蘇我馬子も藤原道長も惚れ込んだ弥勒(みろく)信仰。五十六億七千万年後に降臨し人々を救う、未来仏とは何か?
広隆寺の国宝として有名な、弥勒菩薩半跏思惟像。弥勒とは、五十六億七千万年後に現れて衆生を救うという、阿弥陀や釈迦と並ぶ仏のことである。古代日本に伝わると、災害や飢饉と結びつき、末法思想(メシアニズム)として全国の民衆に広がった。戦後民俗学の泰斗が、中国・朝鮮との比較を通して、日本独自の弥勒信仰の歴史と民俗を復元し、日本文化の原型を描き出す。宗教民俗学を土台にした日本文化論!
【目次】
はじめに
第一章 民間伝承としての弥勒
第二章 宗教運動と弥勒
第三章 比較宗教論における弥勒
第四章 日本仏教における弥勒
第五章 鹿島信仰と弥勒
第六章 朝鮮半島と沖縄の弥勒
第七章 世直しと弥勒
第八章 大本教の中の弥勒
まとめ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
64
民俗学、文化人類学的ミロク。とても面白かった。 メシアニズムとしての弥勒信仰。ジャワのマンセレン運動、オセアニアのコレリは知らなかった。 カーゴカルト、富士講、大本教など、幅広く。2023/10/17
わ!
5
「弥勒」と言うタイトルから想像すると仏教書。私はあまり読まない分野の本なのだけれど、なんと作者が民俗学者のビッグネーム宮田登さんなのである。その取り合わせだけでとても気になる一冊…となり購入。さすがは宮田さん。とても面白い内容となっている。話の舞台は、本州はもちろん、沖縄や韓国まで、鹿島信仰と弥勒信仰の関係や、兜率天の浄土と極楽浄土の関係、そして富士講と弥勒の関係や、大本教の出口王仁三郎氏まで、弥勒を横串に繰り広げられる冒険。宮田さんでなければ、ここまで縦横無尽に話が広がらないだろう。大満足の一冊だった。2023/07/25
gkmond
1
変なとこでくどく、変なとこで飛躍し、紹介にはメシアニズムって文言入ってるのに日本の弥勒信仰の特徴はメシアに乏しいことだと結論され……なんなんだこれ? といらいらしながらページを最後までめくったが、文が合わないと興味深いと思えないらしく、散漫な印象しか残らなかった。中国、朝鮮半島で反乱のバックボーンになった思想が日本に入ってきたらセックス指南になって、みたいに話に伝統を感じた。今も続くJPローカリゼーションでおかしなことにってほんとに昔からだったのかもしれない。2023/12/13