日本一長く服役した男

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日本一長く服役した男

  • ISBN:9784781622163

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内容説明

男は何故、61年も服役しなければならなかったのか。
更生と刑罰をめぐる、密着ドキュメンタリー。

令和元年秋、1人の無期懲役囚が熊本刑務所から仮釈放された。
「日本最長」61年間の服役期間を経て出所したのは、80代のやせ細った男。
出所後も刑務所での振る舞いが体に染みつき、離れないでいた。
男はかつてどんな罪を犯し、その罪にどう向き合ってきたのか?

一地方放送局の記者2人とディレクター1人の取材班は、男に密着取材を行った。
更生の物語を期待し、取材を進めるものの、一向に態度が変わらない男。
それでも彼らは、この謎めいた男がなぜ服役し、どう罪と向き合ったのか
伝えることをあきらめなかった。
取材班が一丸となって、各々の巧みな取材手法を使い分け、番組制作を進めていった。

度々の全国放送が見送られつつも、
いよいよ放送前日となったある日、取材班に衝撃的な連絡が入った。
その時、彼らがとった行動とは――

「更生」とは。「贖罪」とは。そして「報道」とは。
3年にわたる取材の全記録。

【目次】
【目次】
はじめに
第1章 その男との出会い
第2章 偶然か、必然か 取材班結成秘話
第3章 プリゾニゼーションの現実
第4章 裁判記録、その入手までの長い道のり
第5章 日本一長く服役した男“誕生”の秘密
第6章 彼は「ありがとう」と唱え続けた
第7章 刑務官たちの告白 無期懲役囚と社会復帰の理想
第8章 遺族はいま 母との思い出を辿って
第9章 もう一度、問いかけることができたなら
終章 〈鏡〉としての日本一長く服役した男
おわりに
注・参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kawa

35
殺人で無期懲役刑を受けた服役囚、80代にして61年ぶりに仮出所した。その様子をドキュメント番組(視聴済み)として制作したNHKスタッフによる取材記。被害者に対する贖罪の言葉を引き出したい制作スタッフ。が、意に反して出所者は「わからない」を繰り返し番組が企画通り仕上げられない。それが却って更なる問題提起として、受刑者の矯正や高齢化、出所後のフォロー体制等、をクローズアップさせる。2023/12/11

marumo

15
61年服役して83歳で仮釈放、その後支援施設実質老人ホームに引き取られ1年ほどで死亡した男性。日本には終身刑がなく、また無期懲役とは仮釈放が保証されているわけではなく、現在30年くらいの懲役が普通で仮釈放も割と棄却されるそう。不幸な生い立ちとはいえ強盗殺人を犯したというのに、長い服役の中で精神を失調したり、認知機能が衰えたりで、何を聞いても「わからん」の一点張り。改悛するほどの知能、感情も磨耗した様子で「更生」の証が欲しい記者のガッカリ感が伝わって来る。特異な状況に見合わない平板な感情に滅入ってしまった。2023/11/21

かめぴ

8
モヤッが残る読後感。21で強盗殺人、無期懲役で61年後に仮釈放。自分のやった事もよくわからんA。2人の新聞記者の書き下ろしだが、このモヤは本人たちも感じてたようで、更生とか反省とか矯正とか、難しいなぁ。又思いやりって本当に大事。2023/11/16

みかん

8
考えさせられる内容でした。でもモヤモヤ感が強く残った。2023/06/23

ぴくみゅう

7
無期懲役に処せられ61年間服役して仮釈放された人物AをNHK取材班が追った記録。仮釈放直後、記者がAに求めていたのは「反省」の気持ち。人を殺すという絶対に取り返しのつかない罪を犯した人はその後の人生をどう過ごすのか。死刑や終身刑で「一般社会」から排除するのが「一般社会」のためなのか。あるいは被害者のためなのか。「更生」とは何か。印象に残ったこと、被害者(家族)、加害者、その周辺の人、偏りない視点で事実を記そうとする記者の姿勢。正解のないモヤモヤ感、「割り切れない感情」を大事にしたいという記述。2023/08/29

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