内容説明
その年のハロウィーンはいつもより早く訪れ、ジムとウィル、ふたりの13歳の少年は、一夜のうちに永久に子供ではなくなった──。深夜3時に町に現れた古びた列車で、カーニヴァルは運ばれてきて設営された。その喧騒のなか、回転木馬の進行につれて、人の姿は現在から過去へ、過去から未来へ変わりゆき、〈全身を彩った男(イラストレイテッド・マン)〉や〈塵の魔女〉が徘徊する悪夢の世界が、少年たちの前に現出する。SFの叙情詩人を代表する一大ファンタジー。著者自身のあとがきを付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
63
ハロウィンファンタジー。少年2人は夜中に家を抜け出すやんちゃな13歳。ある晩、夜中の3時にカーニヴァル列車が到着しテント村ができるのを目撃する。そこに邪悪な魔物が潜むのを街の人は知らない。鏡の迷路、回転木馬は人々を誘い込む。1930年代の田舎町を舞台に2人の冒険と父親の姿が美しい文章で綴られていく。父が愛について語る部分が何度も読み返したくなるほど好き。少年ならではの思考と行動が子ども時代を思い出させる。夢の読書時間だった。2023/10/29
★Masako★
62
★★★★☆ ハロウィーンを一週間後に控えた10月24日、町にカーニヴァルがやってきた。13歳の二人の少年・ジムとウィルは、深夜にカーニヴァル列車がやって来てひとりでにテント村が出来上がるのを目撃する。邪悪なものの気配を感じ警戒する二人だが、目をつけられてしまい、攻防戦が始まる…。ブラッドベリ独特の比喩表現が散りばめられ、ファンタジックでダークな世界観を見事に演出。心理描写も素晴らしく、少年たちの友情と冒険譚に夢中になり、父子の深い愛に胸を打たれた。秋の夜長に読むのにぴったりの素敵な作品♪2023/10/31
NAO
56
嵐が来そうな雰囲気、真夜中に微かに聞こえるカーニバルの音楽とコットンキャンディの匂い、ちょっと歪んだ鏡の迷路などが怖い雰囲気を醸し出し、主人公の父親が感じている不安がその怖さを増幅させているブラッドベリらしさに溢れたホラー。町にやってきたカーニバル団の回転木馬の進行とともに現れる悪夢の世界に囚われそうになるのは、子どもだけではない。カーニバルの情景や自然豊かな田舎町の風景だけでなく、古い図書館のうず高い書棚や埃を被った古書の匂いなど、ノスタルジックなブラッドベリの「懐かしくき少年時代」。2025/08/15
ふりや
19
久し振りのブラッドベリ。自分の中ではSFのイメージの強い人ですが、本作はホラーテイストのあるダークなファンタジー。訳者のあとがきによると、カーニヴァル・ファンタジーというジャンルに分類されるようです。ハロウィンの季節に街にやってきたカーニヴァル、そこで二人の少年が悪夢のような体験を味わうことに。著者の独特な比喩の言い回しや、じわじわと追い詰められていく少年たちの描写がとても心に残りました。そしてなんと言ってもウィルのお父さんの活躍とカッコ良さ!少年二人の青春物語でもありますが、自分はお父さん大好きでした。2023/08/04
本の蟲
16
恩田陸がエッセイやあとがきでたびたび言及しているブラッドベリの名作新訳版。ある田舎町にやってきたカーニバル。町の人々は季節外れのイベントを喜ぶが、深夜ひとりでに組みあがるテントを目撃した二人の少年だけが、その異常さ、邪悪な存在に気づいて追われることになり…。やたらと修辞が多い凝った文体は、原著を忠実に訳したものらしい。旧訳の方が読みやすかったかも…。しかし後半からは気にならず、少年たちの焦燥と危機感に共感し、図書館司書のパパさんの活躍に燃える。スティーブン・キング激賞も納得2023/09/26
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