内容説明
2018年秋、韓国最高裁は「徴用工」訴訟で韓国人被害者への賠償を日本企業に命じた。日本の最高裁でも、韓国の高裁でも原告敗訴だったが、なぜそれが一転したか――。本書は、日本統治下の朝鮮人労務者の実態から、今なぜ問題が浮上したかまでを描く。この問題は、歴史的事実、総動員体制、戦後処理、植民地主義、歴史認識、国際法理解、司法の性格など多岐にわたる。それらを腑分けして解説、日韓和解の糸口を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
17
日本政府(外務省)に寄りすぎの論調で、あまり読む価値がなかった。終始、本書から秦郁彦っぽさを感じて、感想を書く気がしない。まあ、結局のところ、本書の199頁にあるとおり、そもそも日本政府が“個人請求権自体は消滅していない”と明言しているのだから、いくら著者が日本政府の言い分を補強したところで、韓国の方に分があるよなと個人的には思ってしまう。2022/06/19
nagoyan
15
優。1章帝国日本の朝鮮統治。2章移住朝鮮人、労務動員の実態。3章日韓会談と請求権問題。4章日韓請求権協定への収斂。5章韓国最高裁判決の立論と歴史認識。終章「徴用工」問題の構図ー歴史と法理。と目次を並べてみた。一見してわかるようにこの問題にアクセスするに必要な情報がコンパクトに整理されていて、便宜である。本書は問題を理解するためのものであって、どうあるべきであるかということを声高に主張しない。ただ、やはり韓国最高裁判決を批判こそしないものの、「特異」であるとはいう。将来への展望は見通せない。暗いと思う。2021/01/23
CTC
14
20年12月の中公新書新刊。著者は筑波大元副学長で外交史が専攻の名誉教授。65年締結の日韓請求権協定には「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」との文言がある。議論の余地があるのか?と思ったわけなんだが、18年の韓国大法院判決は賠償を命じた。。法学にも詳しい著者が180を超える文献に基づいて、非常に平易に論点を整理している。論点が、理屈が、あるんです(笑)。本書ではまず朝鮮人労務者の実態から紐解き、国交正常化の交渉経緯、判決の理屈と考察していくが…完全解決は時間の経過しかないかなぁ。2021/02/03
かんがく
13
徴用工問題について、韓国併合まで遡って丁寧に解説してある。3.1独立運動の流れをくむ韓国憲法と、戦後の講和条約体制の食い違いがあるという整理。国家間の外交でいくら取り決めをしたところで、「個人」としての問題は無数にあって、国際問題や歴史問題の根本的な解決の難しさがよくわかった。2022/10/07
ラウリスタ~
13
植民地時代、工業化と農業の近代化が進むが、後者は土地所有者を明確化し、結果多くの農民が小作農に、あるいは耕す土地を失う。39年と42年の大旱魃によって、南部農村から大都市(北部、満洲、内地)への人口移動という時代背景(生きるために自主的)。徴用は44年9月からの一年弱。徴用の対象となると、給与などではむしろ好条件。ただし脱走者は多い(3Kの職場が割り当てられるから)。軍事政権時に、それまで停滞していた交渉を一気に進める、双方が国内向けに違った説明をする余地を残すという玉虫色で。大法院判決の特異性。2021/03/10
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