内容説明
総貧困時代を目前にして、私たちはどのように生きればいいのか。
仕事を失ったのは努力をしなかったからなのか? 幸せになることを夢見られる社会なのか?
30年以上、横浜の寿町に関わり、最貧地域で困窮者の相談に乗り、当事者を支え続ける著者が、日本社会を実態に基づき読み解き、ともに生きるための社会を考える。
【目次】
まえがき――幸福であることを夢見られる社会か?
第1章 総貧困時代がやってくる
第2章 孤立と貧困の連鎖
第3章 野宿生活者を生み出す背景
第4章 排除とバッシングの中で
第5章 伴走型支援(パーソナルサポート)、よりそい支援とは
第6章 新型コロナ禍で何が起きているのか
あとがきにかえて――生存権を保障できない国家で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃんにゃんこ
7
貧困について、題名から推して自己責任を否定する内容である。総中流意識が持てたのは昭和から平成の中頃ぐらいまでだった。今の日本は豊かな国とは言えない。しかし、中流意識だけは残ってしまっている。為政者にとっては都合が良い。貧しい人が増えても、努力をしない落ちこぼれと世間が見るからである。為政者の政策は批判されない。すでに日本は貧しい国にも関わらず、国民が目覚めないのは、この意識が邪魔をしているのかもしれない。2025/02/22
ひつまぶし
2
著者は30年にわたって横浜で野宿者支援に携わってきた。野宿生活をの背景にある構造的要因から野宿者のおかれた状況、支援のあり方、新型コロナ禍での動向など、コンパクトな一冊ながら内容は濃い。生き抜くための創意工夫を凝らしてきた野宿者の生き方を肯定的に語り、伝えるためにはこれだけの記述が必要なのだろう。関わってきた野宿者の事例をもっと知りたいが、一般向けに啓蒙することを考えると、どうしてもこういうバランスになってしまうのかもしれない。いろんなロジックで偏見や差別に反論しつつ、実情まで伝えきるのは大変だろう。2024/08/29
misokko
1
筆者はホームレスの人に寄り添いながら伴走型支援を行っているらしい。その体験やデータから貧困は決して自己責任ではない。ということを丁寧に解説してくれている。この本によると、現在20代の約半数は非正規らしい。野宿生活者がその過酷な状況で生き抜くスキルのある人であるにも関わらず「不審者」として扱われ正義を振りかざして虐待をする人さえいる。でも自分もそんな風な偏見を持っていなかったか?おそらく今の自身の所得では人生にアクシデントがあればあっという間に野宿もやむなしになるのではないかと考えさせられた。2023/07/21
まさぽ
0
ホームレスになる直前の職を調べたところ、常勤職であった人が約4割だった…という記述に衝撃を受けた。 50歳を過ぎてリストラされると、転職もままならず、ホームレス化する。 50-69歳のホームレスが多く、65を過ぎるあたりから高齢者福祉の対象になるので、緩やかに社会保障を利用して「引退」していく。就労と福祉の谷間の世代が野宿をしているのだ。 また、”コロナ禍で住居確保給付金を申請している40-50代の人たちは、働けなくなったら破綻する層である”という部分もリアルで、よく理解できた。2023/11/23
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