夕霧花園

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夕霧花園

  • ISBN:9784779127649

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内容説明

この記憶は いつまで わたしに残るのだろうか
天皇の庭師だったアリトモと、日本軍の強制収容所のトラウマを抱えるユンリン。
1950年代、英国統治時代のマラヤ連邦(現マレーシア)。日本庭園「夕霧」を介して、ふたりの人生が交錯する──

同名映画『夕霧花園』【トム・リン監督/リー・シンジエ(李心潔)、阿部寛出演】原作(2019年映画化、2021年7月24日~日本公開/DVD発売元:マクザム+太秦)。
マン・ブッカー賞最終候補に選ばれ、現代アジア文学で最も優れた小説に贈られるマン・アジア文学賞等を受賞。17ヵ国語に翻訳され、高い評価を受けている。

【あらすじ】
封印していた数々の記憶が、「夕霧」でふたたび流れ出す──
1980年代のマレーシア。
連邦裁判所判事の職を離れたテオ・ユンリンは、キャメロン高原の日本庭園「夕霧」を再訪する。
そこは、30数年前、日本庭園を愛する姉の慰霊のために、日本人庭師ナカムラ・アリトモに弟子入りした場所だった。
日本軍のマレー半島侵攻、戦後マラヤの「非常事態」を背景に、戦争で傷ついた人びとの思いが錯綜する。

【目次】
夕霧花園
著者による注釈
訳注
訳者解説
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

43
本を開けば静謐な「夕霧」の空間が目の前に広がる。そしてその中で生きるユンリンの、日本軍に人生を破壊された凄惨な戦時の記憶も。アリトモとユンリン、単色ではなく縺れ合うような二人の複雑な関係も、美しい風景描写に彩られて一幅の絵画のように素朴で佳麗に収まっていると感じた。それぞれの人生、謂わば一つ一つの魂が、大きな暴力のなかでいかに単純化されてしまうか。加害国と被害者という戦後の枠組みのなかで人間の崇高さを描き切った傑作である。今年の終わりに読んだ本を想い返すとき、間違いなく真っ先に脳裏に浮かぶ一冊だろう。2023/02/26

星落秋風五丈原

28
1980年代、定年まであと2年のテオ・ユンリン連邦裁判所判事が、かつて1950年代に日本人庭師アリトモと過ごしたキャメロン高原の夕霧を訪ねる。歴史学者ヨシカワ・タツジがアリトモに関する著書を出版するために訪ねてきたのだが、ユンリンは最近記憶が飛び手が震える事があった。これが【現在】パート。彼女が回想する過去が二つある。一つは【近過去】で1950年代。もう一つはかなり後になって登場する【遠過去】で1940年代。ユンリンがなぜユンホンのために庭を作りたいと思ったのか、原因となる出来事が描かれる。2023/04/11

本の蟲

12
映画化もされた、マラヤ(現マレーシア)にある日本庭園が舞台の、戦争の記憶と愛憎の物語。引退した女性裁判官ユンリンは、再訪した夕霧花園で過去を回想する。姉と共に日本軍の強制収容所に連れられ、ただ一人生き残った凄惨な体験。姉が憧れた日本庭園づくりのため、日本人への憎しみを消せないまま夕霧花園の主、かつて天皇の庭師だったアリトモに依頼したこと。依頼は断られるが、庭園づくりを学ぶため彼に弟子入りし、夕霧花園で過ごした日々。戦後の共産主義ゲリラによるテロ。やがて失踪したアリトモの秘密。(続2023/03/17

ぱせり

7
収容所時代を引き摺り、いまだになにかに囚われたままに見えるユンリンの解放の物語であり、伝説の庭師の謎を追う物語でもある。アリトモとともに歴史を刻み、忘れられてもなお秘密を抱いて黙りこんでいる庭が、まるで生き物のようだ。実際に、マレーシアの山中深く、「夕霧」という孤高の庭が、存在しているように思えてくる。2023/05/14

turtle

6
戦中の過酷な日本の収容所を生き抜いた女性ユンリンが元天皇の庭師だったアリトモに弟子入りして、キャメロン高原で夕霧と名付けられた日本庭園を作り、その後クアラルンプールで判事として活躍したユンリンが退職後に夕霧へ戻り、当時のことを回顧したりする物語ですが、多民族国家であるマレーシアが日本の占領、共産ゲリラなどに翻弄される様が生々しい一方で溜息が出るほど美しい文章に作者、翻訳者の力量を感じられる素敵な作品でした。先月行ったばかりのマレーシアに対する理解が深まりました。2026/01/25

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