「逆張り」の研究

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「逆張り」の研究

  • 著者名:綿野恵太【著者】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 筑摩書房(2023/06発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784480823830

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内容説明

新聞記者に「逆張り」認定された批評家が戸惑いつつも「逆張り」という現象を考える。「批評」ではなく「運動」や「現場」、「おじさん」ではなく「女性」や「若者」、「傍観者」ではなく「当事者」が称揚され、「逆」が嫌われた(あるいは反動的に好まれた)2010年代とは何だったのか? 「注意経済」「相対主義と絶対主義」「冷笑(シニシズム)」「ポピュリズム」「差異化ゲーム」などのキーワードを軸に、SNSの隆盛とともに社会が大きく変化していった時代を振り返る。

目次

まえがき/逆張りくんによる「逆張り」の研究/第1章 「成功したければ逆張りをしろ」 投資家と注意経済の時代/瀧本哲史とピーター・ティール/注意経済(アテンション・エコノミー)/炎上狙いの逆張り/空気=同調圧力を読んで、あえて逆張りする/「運動」の時代と「逆張り冷笑おじさん」/第2章 「どっちもどっち」の相対主義と「この道しかない」の絶対主義 同じところで同じ情報がぐるぐる回っている/インターネットの類友たちのポピュリズム/相対主義と絶対主義は同じコインの両面/常識というセキュリティ/「愛が大事」と「勇気づけられる」/第3章 「昨日の敵は、今日の友」 アンチと「アンチのアンチ」の戦争/アンチになると主義主張がおかしくなる/「敵の敵は味方」という論理/「敵/味方」の世界観を絶対化する/ポストモダン思想が嫌われる理由?/オウンゴールに熱狂するフーリガン/ツイッターという類友の内輪/支配的な政治は自然の顔をしている/第4章 「ブーメランが突き刺さっている」 アンチ・リベラルの論法/常識や良識を相対化できればなんでもいい/「それってあなたの感想ですよね」「ブーメランで草」/御田寺圭氏の「かわいそうランキング」/アンチ・リベラルはリベラルとよく似ている/「敵」の主義主張のパロディ/第5章 「他人からええように思われたいだけや」 動機を際限なく詮索するシニシズム/「社会から安心、尊敬、信頼される人間を育てる」/厨二病的シニシズム/資本主義社会の耐えがたさ/リベラルは流行しやすい/猜疑心あふれるネット迷探偵たち/物語にすることで安心する/シニシズムは利己的な動機を暴露する/第6章 「そこまで言って委員会」 インターネット学級会とネトウヨになりかけたTくん/「どっちもどっち論」批判は正しい/リベラルという優等生/議論と決断はつねにゴタゴタする/モラルの高さのお披露目会/道徳的な非難を避ける傍観者/誠実だからこそ裏切る必要がある/優等生のえこひいきが許せないネトウヨ/優等生はえらそうなのではない、えらいのだ/頭がよくて良心的だからこそ嫌われる/ネトウヨになりかけたTくんの思い出/本当の意味で反社会的なひと/第7章 「やっぱり東野圭吾が一番」 逆張りとしての批評/メタ視点に立つための「差異化ゲーム」/小林秀雄の逆張り芸/マルクス主義の重しとメタメタメタゲーム/メタゲームを止めてくれる「身体」と「エビデンス」/「笑い」がリベラルに嫌われる理由/第8章 「脳をつつけば世界はガラリと変わって見える」 はるしにゃんとケミカルな唯物論/はるしにゃんと「メンヘラ」界隈/鶴見済と滝本竜彦の影響/セロトニンとケミカルな唯物論/第9章 逆張りは多数派の敵でありつつ、友でなければならない/逆張りにも、逆張りぎらいにも「いま」しかない/「いま」自体を相対化できる別の視点を持つこと/常識をもって常識を制す/あとがき/主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ふみあき

50
たしかに「おじさんがおじさんをおじさんと(呼んで)非難する」って、よく見るような気がする。「おじさん」というワード(少し前は「オヤジ」だった)は今、一番気軽に仕える侮蔑語かもしれない。現今のネット界が「傷ついた」という心情を根拠にする左派と、「エビデンス主義」を掲げる右派の闘技場になっている、という解説はなんとなく得心がいく。「敵の敵は味方」の論理で結成される政治的トライバリズム、その最も見苦しい例として思い出すのは、反米という一点だけで一時期くっついてた西部邁・小林よしのりと、姜尚中・佐高信・香山リカ。2023/07/01

ころこ

44
本書は第7章の前後で全く異なる印象を持った。第4章に「それってあなたの感想ですよね」「ブーメラン」といったネットスラングが頻出するように、SNS上での政治的な口喧嘩的なやり取りに関するものだ。読者によっては読み易いのかも知れないが、ここまででゲンナリして、第6章まで読むのに4日は掛かった。第7章に小林秀雄の大衆論、「メタ」から「身体」や「エビデンス」への時代の変化の議論があり、ここから文章がキリっとなってくる。途中で放り出さなくて良かったと思えたのは第8章があったからだ。「はるしなくん」とのエピソードは本2023/11/29

魚京童!

25
みんながやってないことをやる。ブルーオーシャンだ。市場として形成できなければ、生きていけない。森で生きているおばあさんの気持ちになれる。なぜ村から離れて生きているのだろうか。魔法でも使えるんじゃないか、異世界と繋がっているんじゃないか。そもそも人なのだろうか。鬼ではなかろうか。山姥か。異世界との接点。あるいは逆張り。世界をどう捉えるかだけの問題。2024/08/01

こも 旧柏バカ一代

24
逆張りって株相場の用語だったんだ、、それがネット界隈ではスラング化して逆張りオジサンなんて言葉が産まれたんだ。自身が逆張りを初めて知ったのは報道姿勢で、の話だった。アメリカの大統領選挙で、主要メディアがクリントン陣営に張り付いて報道していたのを反対にトランプ陣営に張り付いて報道していた記者が選挙の後で言ってた時に認識したと記憶している。その逆張りの研究の本。著者さん自身が「逆張りくん」と呼ばれているが、自身の逆張りと世間の逆張りの認識の差から始まっていた。文学系の話しで色々弄り倒して東野圭吾に落ち着くのは2023/10/13

しゅん

22
「逆張り」というテーマがそうさせるのだが、SNS(特にTwitter)で日々争いが繰り返されている議論の構造、批評で繰り返される論法の数々をきめ細かく生真面目にひも解く。例えば、小林秀雄~吉本隆明ラインから多くのネット論者に受け継がれる「大衆」を使ってインテリをくさす方法、白饅頭の弱者が強みになる「かわいそうランキング」とその欠陥を示す。著者の過去作二作に比べて自叙伝的な要素が強く、高校の退学やはるしにゃんとの話などはやはり印象に残る。まっとうなことばかり書いているのになぜか面白い。2023/09/19

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