内容説明
現在の日本では、結婚した夫婦の約3組に1組が離婚する。また、毎年結婚するカップルの約4組に1組が、夫婦のいずれかが再婚である。結婚と離婚は切り離せない時代となった。そこで、離婚となった場合、家族メンバーの幸福が最大限満たされるよう、図っていく必要がある。
著者は長年、少年非行をメインに研究してきた。重大な少年犯罪は機能不全に陥った家族との関係が切り離せない。その一環として、家族問題に関心を持ち、みずから10年以上にわたり家庭裁判所の家事調停委員を務めてきた。これまでに、離婚を中心として200件以上の家事事件の調停を担当。家事事件の最前線において、当事者に寄り添いながら解決を図ってきた。
本書では、著者の家事調停委員としての経験をもとに、現場での具体的なケース(29例)を引きながら、幸福な離婚に至る可能性を探ってゆく。離婚への備え、必要な知識が得られるようケースを選択し、子どもを含む家族メンバ著者のーの幸福を最大化する解を提示する。離婚について考え、備えるための最良の手引き。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
読特
28
継父による虐待で子どもが犠牲になる。その残虐性には目を背けたくなる。実父と面会交流していれば、早期に気づけたかもしれない事例もある。日本は先進国で唯一単独親権制度を採用し、親権を失った親は子どもの行く末を知る権利を失う。関係をこじらせれば儲かる離婚ビジネス。二人の溝を深めるばかり。大人の都合でなく、子どもの立場を最優先に考えねばならない。…初婚相手と添い遂げる。生涯独身で過ごす。両者に共通する離婚を経験しなくていいという幸せ。だが、社会の一員であるならば、誰もがその制度の問題には向き合わねばならない。2025/05/24
乱読家 護る会支持!
6
家庭裁判所では、裁判では無く話し合いによって解決を図る家事調停の制度があります。 著者は、その家事調停を助ける家事調停委員を10年以上務められた方で、数多くの離婚の調停を担当されてきました。 本書では、20歳代から50歳代までの年代別の離婚についての解決すべきテーマと、離婚で問題となる親権、一緒に生活出来ない子どもとの面会交流、住宅ローンなどについて解説されています。 2023/12/26
てくてく
6
少年非行や家族問題で多数の著作を持つ筆者が、家事調停委員としての経験を踏まえて、当事者の年齢ごとに分類したいくつかの離婚トラブル事例を通じて離婚の際の当事者ダメージ(夫婦および子ども)が少ないようにするためのヒントを解説したもの。一読してすべての問題を理解できる類の本ではないが、夫婦や子どもをめぐる最近の状況まで目配りしてまとめられた良い本だと思う。2023/08/16
シュウヘイ
2
結婚は離婚の始まり 離婚は必ずしも不幸なことではない2023/09/13
kei
1
家庭裁判所の調停員を長年勤めた筆者がいろいろなケースと判例を元に典型的な例(母親のみが親権・監護権を取り、実際に看監護を10割担うケースや、片方もしくは双方の再婚や養子縁組に伴って養育費を変更するケース)からここ数年に出てきた、これから増えてくるであろうケース(親権・監護権を分ける、実際の養育負担を分ける、取り決めた監護権と実際の状態のズレを後に修正する等)についても事例を用いて解説。子どもがいる上で離婚する前に考えておくのに有用であるだけでなく、実際の運用に合わせて法的な建付けを後日変更できるというのは2024/09/25