内容説明
機甲部隊こと機械化装甲部隊。第一次世界大戦中に登場し、近代軍備の要のひとつとなった新兵器・戦車は、どのように日本帝国陸軍に導入されていったのか。「軍の機械化」に邁進する列強各国の後塵を拝した日本陸軍は、ヴィジョンを欠いて迷走を重ねた結果、惨烈な第二次世界大戦にあって機甲部隊も真価を発揮できぬまま敗退へと向かう。本書は、戦車学校の教官もつとめた著者の実感溢れる主著であり、歴代戦車の写真・図面・年表他、豊富な資料を完備した類なき必読書である。1971年刊行の増補改訂版を底本に、初版から割愛された図版も再録した完全決定版。
目次
第一章 マレー電撃戦、機甲兵突進す/第二章 第一次大戦、戦車の出現/第三章 平和の風が吹いて/第四章 戦車隊の誕生/第五章 国産戦車の開発/第六章 停滞混迷/第七章 大陸を征く/第八章 独立混成第一旅団/第九章 主力戦車をどうする/第十章 混迷つづく軍機械化/第十一章 機甲大国ソ連/第十二章 支那事変/第十三章 誤った結論/第十四章 ノモンハン/第十五章 ドイツ装甲旋風/第十六章 機甲兵生まる/第十七章 大東亜戦争/第十八章 遅れた開発、行き詰まる生産/第十九章 機甲部隊奮戦す/第二十章 日本機甲部隊の終焉/増補改訂版 あとがき/初版 あとがき/参考文献/戦車年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
15
華々しい活躍のイメージが少なく、司馬遼太郎にディスられてへっぽこな印象も強い旧軍の戦車部隊の通史。著者は陸軍の元参謀で、戦車学校の教官も務めた人物。「アジアの地形に合わない」「資材がない」という「やらない言い訳」や仕事を奪われるかもしれない騎兵部隊との軋轢など、陸軍内部での生々しい対立が興味深い。「日本軍にはヴィジョンがない」とこき下ろすこともできるが、先覚者の英仏も試行錯誤の上に道を誤り、後発のドイツに敗れ去った。様々な制約の中、正解の無い分野に挑んだ人たちの記録として、虚心坦懐に読む本だと思う。2023/06/18
CTC
12
23年ちくま学芸文庫、単行本は75年白金書房刊、この文庫版は81年原書房刊の増補改訂版を底本にしている。著者は陸士42期、陸大50期の元陸軍中佐。陸士は歩兵科で同期218人中9番の成績と優秀、陸大卒後は戦車学校教官、その後参謀として各地を転戦、戦後は日テレの編成局長迄務めた。本書はその後に執筆した処女作という。 本邦が騎兵と戦車兵を合わせて機甲本部を創設し、本当の意味での“機甲部隊”を編成したのはようやく41年。非常に短命だったし戦果も限られるが…そこに至る経緯を詳述する。島国の限界だったということか…。2024/05/08
ことぶき あきら
4
著者は陸軍戦車学校の教官や陸軍省軍務局軍事課資材班長などもつとめた旧陸軍士官(終戦時中佐)。戦車の黎明期から第二次世界大戦までの、戦車をはじめとする機甲部隊(機械化装甲部隊)の歴史について書かれています。そもそもの戦車の運用思想や、それに基づきどのような部隊編制、兵器の開発が目指されたかに主眼が置かれており、私の興味関心に合致した内容でした。日本を中心とした記述ですが、その前提となる海外の状況、歴史も書かれています。戦車の目的は、歩兵の直接支援、騎兵の機械化、諸兵科連合の機甲部隊の中心、いずれとするのか…2025/08/11
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