火星からの来訪者

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火星からの来訪者

  • ISBN:9784336071316

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内容説明

第二次世界大戦でドイツが降伏した頃、アメリカのノースダコタ州とサウスダコタ州の境に隕石らしきものが落下する。しかしそれはただの隕石ではなく、火星から飛来したロケットであった。その中に乗り込んでいた奇妙な「火星からの人」がニューヨーク郊外の研究所に運び込まれ、科学者や技師などからなるチームが極秘のうちに、この火星人とのコミュニケーションを試みるが……『金星応答なし』に5年ほど先立つ、レムの本当のデビュー作とも言うべき本格的SF中篇『火星からの来訪者』、若き医師ステファン・チシニェツキは、町を歩いているときにユダヤ人と取り違えられて捕まり、他の無数のユダヤ人とともに貨車に押し込められ収容所に送られてしまう。ユダヤ人移送の決定的瞬間を描いた「ラインハルト作戦」、広島への原爆投下を主題にした、世界でもっとも早い文学作品の一つであり、SF的想像力を駆使して爆発の光景が創り出された「ヒロシマの男」など、レムがまだ20歳代だった1940年代から1950年にかけて書かれた、いずれも本邦初訳となる初期作品を収録。《星をちりばめた闇に茫然と言葉を失う者は/とても孤独で詩人に近い。》

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

水生クレイモア

19
表題作のやや粗暴にも思える結末が不穏。その他では「ヒロシマの男」が私的ベスト。これまで読んできた中で「似た作品」が特に浮かばないほどフォームレスな作風。詩集は訳の力もあってかレムの世界観を垣間見られる。2023/09/15

たか

7
レムの初期作品集。どちらかというとファン向けかもしれないが、面白い短編もあった。表題作はファーストコンタクト失敗系で、レムが何度も書くことになる主題が既にあらわれている。火星人が最後まで得体の知れないところは良いが、切れ味はそこまで鋭くないか。『異質』物理法則は人間が決めた世界の捉え方のひとつに過ぎない。初期作品だがこの思想はまぎれもなくレム。『ヒロシマの男』1947年にポーランド人がこれを書いたという驚き。爆発の描写はさすがレム。戦争のやりきれなさと大量破壊の残酷さ、そしてサトウの言葉が痛い。2023/07/12

はにまる

3
かねてから、「人間にとって異質な存在を、人間の思考の枠組みでは全く理解できない存在として描く」という点で、レムとラブクラフトの類似性を感じていたのだが、レムの最初のSFである表題作は、ホラー的描写が使われているためか、それが顕著に見える。そして解説を読み、この両者の原点はやはりウェルズなのでは、なんて思う。その他の非SF作品(「異質」は自分の中では完全にSFだが)や詩篇も、レムの創作の原点が見えて興味深い2024/04/13

ケロたん

3
とりあえずレムなので。初期作品のためか比較的読みやすい。2023/06/28

biwacovic

2
まさに「ソラリス前夜」というべきムードの表題作も良いが、非SFの『ラインハルト作戦』『ヒロシマの男』『異質』も良かった。戦争/虐殺の濃密な記憶が焼き付けられたような、レムの小説を包んでいる人類への認識、もっと言えば諦念がよくわかる。2023/03/17

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