寝煙草の危険

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寝煙草の危険

  • ISBN:9784336074652

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内容説明

カズオ・イシグロ(ノーベル文学賞作家)絶賛!
「美しく、怖ろしい……近ごろ私が発見した最高に面白い小説」
――ガーディアン紙「今年のベスト・ブック(2021)」

〈文学界のロック・スター〉〈ホラー・プリンセス〉エンリケスによる、12篇のゴシカルな恐怖の祭典がついに開幕!!!

寝煙草の火で老婆が焼け死ぬ臭いで目覚める夜更け、
庭から現れどこまでも付き纏う腐った赤ん坊の幽霊、
愛するロック・スターの屍肉を貪る少女たち、
死んだはずの虚ろな子供が大量に溢れ返る街……


「もっと 火をつけねば」


〈スパニッシュ・ホラー文芸〉とは
エルビラ・ナバロ、ピラール・キンタナ、サマンタ・シュウェブリン、フェルナンダ・メルチョール、グアダルーペ・ネッテル――今、スペイン語圏の女性作家が目覚ましい躍進を遂げている。作家によっては三十か国以上で翻訳され、世界中で好評を博すなど、現代文芸シーンにおける一大ブームとなっている。中でも、社会的なテーマを織り込みながら、現実と非現実の境界を揺るがす不安や恐怖を描いた作品群である〈スパニッシュ・ホラー文芸〉は、特に高く評価され、全米図書賞などの著名な賞の候補にも作品が上がるなど、今、最も注目すべき熱い文芸ジャンルの一つである。本書の著者マリアーナ・エンリケスは、〈文学界のロック・スター〉〈ホラー・プリンセス〉と称され数々の賛辞を受ける、現代アルゼンチン文学の頂点に君臨する作家である。


【2021年度国際ブッカー賞最終候補作】
LOS PELIGROS DE FUMAR EN LA CAMA, Mariana Enriquez, 2009

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夢追人009

286
南米アルゼンチン文学の第一人者の女流作家による12編の幻想ホラー短編集。やはり土地柄のせいか陰湿な暗さはなく何処かに陽気で熱狂的な気質を感じますね。でも冷静に見えても明らかに頭のねじが外れて狂っているのですけどね。私の印象に残ったベスト3は「ショッピングカート」の黒人ホームレス男の呪いのリベンジの流れが向かうラストの意外な戦慄。「肉」はカリスマロックスターが自殺した時に熱狂的ファンの少女が取ったおぞましさ行動とは?「戻ってくる子供たち」は死の国から帰って来る子供たちの話で「怪奇大作戦」を思い出しましたね。2023/06/13

starbro

210
『このホラーがすごい 2024年版』にて「2023年度ホラー小説ランキング・海外篇」第1位に選ばれたので、読みました。ホラーというよりも、エロスと狂気の純文学的短編集でした。オススメは、「ちっちゃな天使を掘り返す」&「どこにあるの、心臓」&「戻ってくる子供たち」です。 昨年読んでいたら昨年のBEST20候補でした。 https://www.kokusho.co.jp/news/2024/06/202406131352.html2024/06/20

buchipanda3

111
表紙の絵は表題作をイメージしたものだろうか。煙草の煙に巻かれて窒息してしまうほどのひ弱な生き物。そういう生き方を望んでいなくても、そう運命づけられたかのように生きてしまう虚しさ。それは人間にも当てはまると言わんばかりの小説集と思った。不条理な社会病理に慣らされ、その理不尽さに目をつむっても、もたらされた臭いは隠せない。それが発する煙に巻かれてか、人々はいつの間にか倒錯も妄執も曝け出す。それらを描く著者の描写はエグいが、奔放でどこか滑稽。そして伝承的だがリアル。そこには怖さもあるが願いを込めたとも思えた。2023/06/24

藤月はな(灯れ松明の火)

82
箱入りでもある装丁は折り紙付きの美本。ただし、内容は行方不明者が続出した独裁政権下、その解放後も身代金目的の誘拐が横行したアルゼンチンの嘗ての状況を彷彿とさせる戦慄の短編が収録されています。流石、アルゼンチンのホラー・プリンセスだぜっ・・・(泣)「湧水池の聖母」はいけ好かない女子と自分達に見向きもせず(一方的な横恋慕です)に恥を掻かせた男子を悪意から嵌める女子達の悪辣な連帯感に血の気が引く。「ショッピングカート」の脱糞をするホームレスは運を齎したのだろう。だが、共同体で生きるには従わないと略奪の対象となる2023/08/21

ゆのん

74
12編から成る短編集。どの物語もものすごくゾッとさせられる。超常現象的なホラー感はもちろんだが、時には被害者、時には加害者になる人々の残酷さや、残忍さに恐怖する。劣悪な環境下で行方不明の子供達や、煙草、薬物、売春などなど現実的な恐怖にジワジワとやられる。中でも『戻ってきた子供たち』は傑作だと思う。知りたくないような酷い現実と、何となく美しく感じる超常現象の対比が素晴らしい。文章は静かで淡々としているが、読んでいくうちに透明度の高い、刺すような冷たさを感じた。2023/06/09

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