内容説明
ロシア文学の研究者であり翻訳者である著者が、自身の留学体験や文芸翻訳の実例をふまえながら、他言語に身をゆだねる魅力や迷いや醍醐味について語り届ける。「異文化」の概念を解きほぐしながら、読書体験という魔法を翻訳することの奥深さを読者と一緒に“クエスト方式”で考える。読書の溢れんばかりの喜びに満ちた一冊。(装画:小林マキ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
125
いいですね~。魔法ゲーム感覚で、外国語を学ぶことについて書いてるのだけど、とても良い。 ロシア語との出会いから翻訳の苦労まで。 外国語学習初期の、妖怪あきらめ、の宥め方はいろんな外国語学習に役立つ2024/10/12
どんぐり
90
10代以上すべての人のための人文書〈シリーズあいだで考える〉の1冊。ロシア文学の翻訳者が、翻訳について「原著を何度も何度も読みこむ。どんな日本語にするか考える。そのあとに翻訳を始める」「翻訳とは、言葉を訳すだけではなく、ことばと読者の関係そのものを訳すこと」と、その極意を伝える。名倉さんらしく誠実さが伝わってきてよかったが、副題になぜ「翻訳と原文」とせずに「翻訳と魔法のあいだ」にしたのか、その意味を汲み取れないままに読み終えた。きっと伝えたいことがあったのでしょうね。→2024/01/20
kaoru
88
ロシア文学翻訳者・奈倉有里さんの著書。ゲームの攻略本の体裁を取っているのは若い読者を意識したせいか。子供の頃トルストイの童話に魅かれた彼女は、新しい言語に出会いその国の文化を愛し翻訳に至るまでの道筋をわかりやすい言葉で解き明かす。「文化を学ぶことは…『〇〇人としてのアイデンティティ』をほぐし、もっと広い地平に踏み出すこと」と言った示唆に富む表現が各所に散りばめられている。翻訳の過程で必要な調査や訳語の選択の記述も興味深い。何より様々な文化に触れて視野を広げて欲しいという彼女の熱意が伝わってくる好著。2024/01/26
コットン
66
ロシア文学の研究者であり翻訳者でもある著者が語る言語や翻訳についての多分十代前半から読める軽めだけれど奥が深い本で読書の魅力についても語っている。著者のロシアでの先生が授業の中で状況を踏まえた言葉の翻訳を考えさせた後、お気に入りの回答を見つけ「いい翻訳家は、いい詐欺師!」という言葉を言ったがしっくりした言い回しが直訳とはズレていたとしても読者にとってはより分かりやすい気がする。自身の翻訳についても書かれていて翻訳家の大変さがわかる。2023/10/19
Kerberos
51
外国暮らしの経験があれば誰でも「文化の違いで困ったり驚いたりした体験」や「異文化交流のために心がけるべきこと」を問われたことがあろう。そこで日本とのギャップを得々と語り、果ては自国文化の優位性をにじませたりすれば、それこそ凡夫の言にほかならぬ。留学経験のある著者はそもそも文化を「異」や「純粋」で形容することに疑義を呈し、それは人間の意識が作り出した恣意的な線引きでしかないと切り捨て、大切なのは好きな文化を選び、その知識や技術を磨き「共通の文化」を担う人を見つけることだと喝破する。翻訳家おそるべし。2023/07/31
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