内容説明
アマテラスの弟スサノヲは、天上界では乱暴狼藉を働いて追放される悪玉だが、地上界では八岐大蛇(やまたのおろち)を退治して人々を助ける善玉になる。そのキャラクターは『古事記』と『日本書紀』とで大きく異なり、研究者の間でしばしば論争となってきた。ヤマト建国への関与、祭祀をめぐる天皇家との関係、縄文文化のシンボル……。豊富な知識と大胆な仮説で古代史の謎を追ってきた筆者が、スサノヲの正体に鋭く迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさにい
10
池澤夏樹さんの古事記を読んで、スサノヲと大国主の両方に興味をもった。そこで、この本が目に入り購入。スサノヲはヤマタノオロチを成敗した。このヤマタノオロチ、多分鉄を作る民族だったと思う。鉄を作るためには木を伐採しなければならず、ひと山丸裸になる、そこで、山が荒れ農耕民族が困るので成敗したという比喩。大国主は国譲りの神、大は地方豪族一般をさすのだろう。つまり、大国主は1人ではない。有力地方豪族を国津神とし、天皇家を天津神としている。ぼくはどうもスサノヲと大国主が同じとおもっているが、どうなのだろうか。2024/03/20
fseigojp
9
アマテラスとスサノオは同一で大物主? 大物主って国津神では? なんか????2023/08/12
TK39
7
最近、出雲神話に興味があり、手にとる。どこまでが考古学的に証明され、どこが筆者の推論なのかはよくわからない。しかし、伊勢神宮は明治になるまで歴代天皇は参拝したことはないらしいが、その理由は何か?伊勢神宮、出雲大社、熊野の関係など古代史の勢力争いに関係しているなど興味深いポイントを出してくれている。2024/10/06
coldsurgeon
6
古事記と日本書紀では、描かれ方が異なるスサノオノミコトとは、何であるかを、ヤマト建国と絡めて解き明かす。古代史の様々な最近の発掘調査によりヤマトの成立過程が少しづつ明らかになるにつれ、日本書紀が何を隠そうとしたかを暴くことによりスサノオノミコトの姿が明かされる。伊勢神宮の内宮と外宮にそれぞれ女神が祭られている不思議、古代に大きな勢力があったと思われる尾張連が、歴史の表舞台から消えた訳、など興味深かった。2023/09/18
inaryoXD11
5
先月、戸矢学著『スサノヲの正体』を読みました。関さんの本書ではこれも先月読んだ『継体天皇』で語られているヤマト建国に至るまでのタニハ(但馬、丹波、丹後、若狭)と東海、出雲を中心とする日本海、吉備の瀬戸内海勢力の関係と同じ内容だが、スサノヲはその立役者とされている。「考古学がヤマト建国の詳細を明らかにしたので、スサノヲや神話も見直さなければならない」とアップデート。結局はスサノヲの正体として、本来の太陽神であったり、建国の功労者のモデルだったりと何でもあり(?!) そういうスーパーな人だったのです。2024/06/03
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