内容説明
妻の貌を、男たちは知らない。
男たちの身勝手さを、一行で打ち砕く桐野文学の極北!
夫公認のもと、元恋人と自由な時間を過ごす妻を描いた
表題作「もっと悪い妻」など、計六作の短編を収録。
「麻耶は大事だと思っている人が他にいるの?」
「いるよ。男でも親友になれるよ」
「それはそうだろうけれど。困ったな」
(「もっと悪い妻」より)
ネット上で〈悪妻〉と批判されることに悩む
バンドのヴォーカルの妻を描いた「悪い妻」。
妻と離婚した後、若い女性にしつこく迫る
壮年の男性の哀歓を伝える「武蔵野線」など、
男と女のカタチを切り取った現代の「悪妻論」。
西加奈子さん(作家)推薦
不幸な「悪い妻」は許されるが、
満たされた「もっと悪い妻」は断罪される。
「妻」という呪いと、
「妻」を理想化する社会へのしたたかなカウンター。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
352
桐野 夏生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。悪い女が主人公の連作短編集、おススメは、『悪い妻』&『もっと悪い妻』ですが、著者が書くにしては悪さが足りませんでした(笑)https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639170922023/07/22
うっちー
221
悪い妻もいろいろなタイプがいます2023/07/14
いつでも母さん
190
あっという間に読了しちゃう。そんなに悪いかなぁ?妻だけが悪いの?(汗)桐野夏生の短編6話・・・あぁ、物足りない!突き放され感とか、放り投げられ感、置いて行かれ感が足りな~~い!(笑)わがまま読者の私こそが、もっと悪い読者なり。 2023/07/09
nonpono
182
久しぶりの桐野夏生を短編集。こ気味良いテンポで話が進む。どの話にも「女」がキーワード。まさに帯は語る。「男たちの妄想を一行で打ち砕く 桐野文学の極北」。すごく嫌な女やすごくかわいそうな女は出てこない。あくまでも普通の中庸なありふれた女の裏の裏が、計算し尽くしたかのように現れる。個人的には、「みなしご」が好き。 最後の何行かが。急に緊張感が走り出す。桐野夏生の長編も良いがたまには趣向を変えて短編もまた怖い。人が怖い。窓越しから雷鳴が響いている今、目が覚めたような読後感に陥っているのだ。2023/08/12
モルク
168
まさかの短編集。活字も大きく150ページ弱、あっという間に読めてしまう。もっとどろどろしたものかと思ったけど意外にあっさりしていて、悪い妻もそんなに悪い妻ではない。が、もっと悪い妻はやっぱり悪い妻かな。でも妻とはこうじゃなくっちゃという概念を取り除いてくれる。全般的に作中の女たちはさばさばし生き生きしているが一方男は…。インパクトは薄めだが、こんな話もいいなと思わせるのが、さすが桐野作品だ。2023/10/25