内容説明
アメリカ探偵作家クラブ賞受賞シリーズ、衝撃の第一作 1973年、グラスゴー。特別房の囚人が予言した少女射殺事件の捜査に挑む刑事ハリー・マッコイは、事件の裏の巨悪に触れるが……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
76
このトゲトゲしさはすごい。1973年のスコットランド・グラスゴー。暴力、薬、退廃的な街。人の命が平等でない世界で、事件の鍵を握る大物にどこまで迫れるのか、目がはなせない。…予告殺人が起こる。被害者少女は死亡、加害者少年は自殺、予告した囚人も殺された。事件を聞いていた刑事のマッコイは施設出身で現在もダーティー。加えて彼を取り巻く人物、父のような上司マレー、田舎町出身の新米刑事ワッティー、幼なじみのギャング・クーパー、なんとも深く魅力あるキャラクター。シリーズ1作目で早くもファン!12月まで読みたい。2023/07/07
M H
38
1973年、スコットランドのグラスゴーが舞台。刑事ハリー・マッコイは特別房の囚人から殺人の予告を聞かされ、ほどなくしてその現場に居合わせることに。陰惨な殺人、清濁併せ呑まずに生きられないマッコイのある意味矛盾したキャラクターがダークな物語を呼びこむ。いくつか指摘があるように、ショーン・ダフィシリーズを思わせるがもちろん初期の暗く、陰鬱なテイストだろう。個人的には最近のほうがかわいくていいな♫これは好みで。トーンを崩さなかった結末と次作以降の評価の高さで期待が膨らむ。2023/07/28
星落秋風五丈原
37
元妻はワルの幹部の愛人で、かつて子供を失ったことから疎遠に。マッコイは時々ヤクも決めて、ギャングの親玉とも繋がりを持っているが表向き善人を装う悪には屈しない。頼れる上司、とっぽい部下にはさまれた刑事が主人公で舞台はちょっと遡り70年代のアイルランドを舞台にした月シリーズ。2023/07/28
ハスゴン
30
気になるダークヒーローが誕生した!この感じならば12月分楽しめるのかな?2024/01/30
シキモリ
29
了解の意を示す『あい』といい、否が応でもエイドリアン・マッキンティの<刑事ショーン・ダフィ>シリーズを引き合いに出さずにいられないが、今作の主人公ハリー・マッコイは優秀な警察官でありながら、自身の弱さも無様さも包み隠さず曝け出す(出される)人間味のある人物造詣であり、警察組織内を綱渡りで歩むアウトサイダーとして、その危うさが魅力。今作は上流階級の人間が関与する事件としてまずまず妥当な落としどころで、次作への繋ぎも上々ではなかろうか。しかし、関係者が容易く口を割り過ぎるのは些か興を削がれる部分だったりする。2024/02/08