文春文庫<br> 海の祭礼

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文春文庫
海の祭礼

  • 著者名:吉村昭【著】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 文藝春秋(2023/06発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167169428

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内容説明

日米の青年が見た「鎖国から開国へ」

ペリー来航五年前、鎖国中の日本に憧れたアメリカ人青年ラナルド・マクドナルドは、ボートで北海道の利尻島に単身上陸し、アイヌたちに発見される。不法入国者として長崎に収容されたマクドナルドから、若き長崎通詞・森山栄之助は活きた英語を学ぶ。オランダ語には通じていても英語を習得する者の少なかった通詞のなかにあって、森山はペリー一行の首席通詞を務めるなど、開国を迫る諸外国との交渉のほぼ全てに関わっていく。日本とアメリカ、森山とマクドナルド、鎖国と開国、交錯する運命は時代に翻弄されてゆく――。
彼らの交流を通し、開国に至る幕末期の日本の意外な史実が描かれた、傑作歴史長篇小説。
解説・曾根博義

※この電子書籍は、2004年12月に刊行された文春文庫版を底本にしています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

300
幕末から幕府の崩壊、そして維新の力学に関心を寄せ続ける吉村昭。本編でも長崎のオランダ通詞森山栄之助を主人公に、このまさに激動の時代を描く。文体はいつも以上に客観体を心掛けているかのようだ。それゆえに、時としてフィクションとしての躍動感を犠牲にすることも厭わないほどに。国禁を破ってまで日本にやって来たマクドナルドとの出会いが森山の一生を決定した。吉村のこの小説では、森山はもはや単なる通詞などではなく、立派に外交官である。しかも、その手腕は幕末にあっては最高の力量だったのだろう。語りは地味ながら、実に感動的⇒2025/02/28

おしゃべりメガネ

127
思ってた以上に超大作でした。我ながらよく最後まで読了できたなと。鎖国真っ只中の日本は利尻島に単身で上陸したアメリカ人青年「マクドナルド」。そんな彼が長崎に収容され、出会った通詞「森山栄之助」との関わりを描きます。しかし、二人の心温まる描写自体は残念ながら、ごく一部であり、大半がペリー来航に纏わる歴史描写でした。しかし、このペリー来航の一部始終がリアルで、きっとこういう作品は吉村さんならではなんだろうなと。日本の長きに渡る鎖国が崩壊するまでを、外交に関わる心理描写を前面に綴るスタイルはとにかく圧巻でした。2023/02/26

いつでも母さん

111
疲れた・・文庫で476頁。その内容は漢字が多いしカタカナも多くて読むのに時間を要した。しかし吉村作家がいなければ陽が中らなかったであろう小説だと思った。開国前の日本の慌てぶりがよくわかる。前半マクドナルドの苦悩と生来の真面目さが好ましい。そして、通詞・森山栄之助の努力・人柄が読了後は苦しかった。この人がいての幕末・開国だったのだなぁ。右往左往するお偉方と偉人の間でほんの数年間が彼を疲弊させたのは間違いない。歴史の陰に、こうした人がいたことを忘れてはいけない。吉村作家の執念を感じた作品だった。2016/03/26

タツ フカガワ

85
江戸末期の1848年、北海道利尻島に漂着したマクドナルドという若者は長崎へ送致され、やがて長崎の通詞たちの英語教師となる。なかで語学の才能に秀でた森山栄之助は未知の言語を急速に修得していく。5年後、艦隊を率いてやってきたペリーと幕府の開国交渉をはじめ、英・露・仏・蘭すべての外交の場に栄之助は立ち会う。マクドナルドと栄之助の友情を通して描く開国までの現場が生々しい。なにしろ詳細を極めた描写がすごく、これぞ記録文学という一冊。それにしても歴史に埋もれたマクドナルドをよくぞ掘り起こしたものだと、そこにも感動。2024/07/29

ぶ~よん

74
ペリー来航時に通訳として活躍した森山栄之助と、森山に英語を教えたラナルド・マクドナルドを描いた歴史小説。日本文化に興味を持ち、アメリカの捕鯨船から小舟で日本に密入国したマクドナルドは、収監されるも謙虚で温厚な人格が評価され、森山らの英語の教師となる。オランダ語しか学ぶものがいなかった当時の日本にあって、マクドナルドが日本に辿り着いていなければ、ペリーとの交渉は更に難航を極めたに違いない。歴史にたらればは無いが、何かが悪い方に転んでいたら、今日の日本は違う国になっていた。歴史の詳細を知ることは、面白い。2025/07/31

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