内容説明
30年近く続いたポスト冷戦時代は、時代に乗り遅れた日本の長期低迷時代でもあった。しかし米中対立を軸とする新冷戦時代で、いままでの日本のピンチが逆に大チャンスになる。
内外の情勢に通じるエコノミストが分析する国際情勢の変化と日本復活のシナリオ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
78
少々、奇をてらった題名のような気もする、ほんまかいな?と。著者は伊藤忠関連の民間エコノミスト。現代を東西冷戦時代、ポスト冷戦時代、(米中による)新冷戦時代と区分。89年、冷戦終結によりグローバリゼーション進行、中国をはじめとする新興国が高成長を遂げたが。新冷戦時代の始まりは17年の習近平の共産党大会での『社会主義現代化強国」建設を宣言した演説から。著者の中国情勢に対する分析は明晰で腑に落ちる。習近平の現状認識は、矛盾の多くは鄧小平の改革開放による高成長がもたらしたもので、行き過ぎた市場経済を修正して⇒2023/07/09
新父帰る
6
2023年6月刊。日本の関する章は最後の第7章で扱っている。著者は伊藤忠商事の元会長の丹羽宇一郎の片腕。その後、国際エコノミストとして多方面で活躍。ポスト冷戦から約30年、新冷戦時代を迎え、米中対決時代に突入。仕掛けたのは習近平で米国が売られた喧嘩を真正面から受けて立つ米国。米国の対中制裁。グローバル・サプライチェーンの見直しとフレンド・シェアリングの構築、つまり、リシェアリング(国内回帰)とアシェアリング(近隣友好国への工場移転)の活発化。この変動で日本にチャンスが来る。台湾のTSMCがその典型になる。2023/08/07
ahwai55555
2
世界覇権を目指す習近平の中国と、帝政ロシアの復興を使命と考えるプーチンに対して、米国を中心とした西側世界は新冷戦に突入し、経済のブロック化が避けられない。その中で日本がフレンドショアリングで優位な立場(勝者)になるとのことだが、そううまく行くとは思えない。ポスト冷戦期に進んだ産業の空洞化を半導体企業の誘致で乗り切れるとも思えない。製造業を中心に十二分に力をつけた中国に、あらゆる産業で駆逐される未来もありうるのではないか。勝者の予感に浮かれるのではなく、官民総力戦で巨大な中国に立ち向かう必要があると思う。2024/06/10
PARO
2
熊本に台湾の半導体の工場が出来る。サムスンの工場も横浜に出来る。九州が日本のシリコンバレーになるかも。熊本は水がきれい。グローバルサプライチェーンで海外に工場が移転していたが、新冷戦時代は失われた20年で賃金が上がらなかった日本人を工場で雇用することができる。海外も国内も、生産工場を日本に移転する動きを見せている。メイドインジャパン。日本株も上がり、企業のバランスシートも改善されているということ。しかし、日本の超高齢化社会、出生率低下、外国人労働者のことは書かれていなかった。2024/01/21
ロドニー
1
ベルリンの壁崩壊後のポスト冷戦、そして新冷戦の始まり(2017年10月の第19回中国共産党大会での習近平演説)の流れについて解説。安価な労働力を求めグローバルに拡大したサプライチェーンの揺り戻し(フレンドショアリング)が本格化し、円安と良質な労働力がある日本にとって追い風となるというのが本書の骨子。熊本TSMC工場に他の事例が続くか。ロシア、中国との密接な関係でビジネスモデルを構築してきた独や、中立的な立場の印、東南アジアの動きは?情報、金、軍事、資源を巡る今後のパワーバランスに注目したい。2023/11/13
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