内容説明
14世紀に誕生した火器はいかに戦争の主役となったか。兵士の生活や国家財政など様々な背景を織り交ぜ辿る技術・戦術、軍組織の歴史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
16
近世までのヨーロッパでの火器の発展を論じた一冊。火薬の生成から弾道学まで、技術的な側面にも大きくスポットが当てられていて面白い。また試行錯誤の15世紀と停滞期となった16~18世紀を扱うことで、新たなテクノロジーが戦争に与える影響の限界が見えてくる。著者は16世紀後半から19世紀前半までの砲術には一貫性がある(つまり進歩がない)とするが、つまるところ近代にいたるヨーロッパの軍事革命においては、テクノロジーは決定的な要因ではなく、集権的な国家や財政制度の整備、国民意識の寛容の方が重要なんだよということかな。2023/08/01
Fumoh
4
ヨーロッパのルネサンス時代、いかにして火器はそれまでの戦闘の常識を変え、戦術体系の中に組み込まれていったのか、技術的な面にとどまらず、政治経済的な面からも眺めていく書。かなり専門的な書であって、ヨーロッパのルネサンス時代の政治経済、また当時の戦争の戦術体系及び軍事階級にかなり興味があるか、相応の知識がないと、この書の面白さは分からないだろう。わたしは再度勉強して、いつか再読してみたいと思う。2024/02/21
デューク
2
火器がどのように決定的な兵器となっていったか、技術面から戦争の進化論。14世紀に火器は発明されたが、当初は補助的な兵器であった。だが様々な技術の進歩と戦術の進化により、戦場の主役となっていく。主に15~16世紀のヨーロッパを中心とした、戦争と技術の関係。完全な技術史に不可欠なもの、欧州貴族が一騎討ちを好んだ理由、大砲の出現が守備側に不利なわけ、マスケット銃の命中精度に関する考察、火砲が16世紀の人々に与えた社会的な衝撃、重騎兵が火砲の出現後も残った理由、などなど。歴史の新たな切り口を提案する一冊。おすすめ2023/09/03




