内容説明
NICU(新生児集中治療室)を舞台にした、
小さな命をめぐる感涙の物語。
著者の経験を元にした新たな代表作誕生!
新生児仮死で生まれてきた赤子の母、
胎児に染色体異常があると告げられた女性、看護師、臨床心理士、清掃員、医師ーー
さまざまな視点から描かれる、NICU(新生児集中治療室)という「この場所」。
小さな命のきらめきに、こんなにも心を動かされる。
医療現場を舞台に著者が新境地を拓いた連作長編小説。
ずっと、18トリソミーではなかったのなら、どんなにいいだろうと思っていた。けれどもし、その願いが叶うことで、生まれてきた赤ちゃんが心(ここ)ではなくなってしまうのならば、意味がなかった。心でよかった。心がよかった。
重なっている手の指。カーブした足。何もかもが特別で、愛おしかった。心だけの形。あらゆる部分が、可愛らしい。(本文より)
目次
目次
騒がしい場所
名付ける場所
働く場所
願う場所
守る場所
向いている場所
笑う場所
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ1958
16
読んで良かったです。NICU(新生児集中治療室)で働く医師、看護師、臨床心理士などそれぞれの視点で描く連作短編集。よくあるストーリーではありましたが、誇張や矮小なく新生児治療へ従事する人たちの献身的仕事ぶりや命を敬う気持ち、それぞれの家庭を巡る苦悩などが率直に描写されています。各章ごとの登場人物が名だけで表現されるところがあって、繋がりが判りにくい部分ありましたが、あらためて医療関係者の方々への尊敬の気持ちと幼い命の尊さが身に沁みます。2024/06/30
たっきー
13
NICUを舞台とした連作短編集。一般的な産科と比べてシビアな状況にある母子の命を守ろうとさまざまな立場の人間が働く場所。印象的だったのが、看護師の朋子と麻美のやりとり。面会に来ない母を非難する麻美に対し、朋子が「逃げてるって決めつけちゃダメ」、「他人が決めつけられることなんて、何一つないと思うわ」。相談支援をやっていくにあたって、戒めとしなくてはと思った。2023/09/15
ぶきちゃん
10
NICUという新生児を治療する場所を舞台にした連作短編集。初読みの作家さんだったけれど、あっさりしてるのに、すっと心の中に入ってくるような不思議な文章を書く方だった。NICUの特異性に焦点を当てるんじゃなくて、各登場人物達それぞれの人生が、身近に感じる小さな「生」に影響を受けているところに深みを感じてグッときた。作者の愛だと思った。2025/05/04
takakomama
7
図書館の福袋(テーマは「命が生まれる場所で」)に入っていた本。NICU(新生児集中治療室)に関わる人々の連作短編集。私自身が生まれた時に保育器のお世話になり、息子も小さい頃は喘息だったので、医療従事者の方々には感謝ばかり。無事に妊娠、出産すること、子供が元気に育つことは当たり前のことではない。出生前診断など医学が進歩して、迷いや不安、悩みが増えたかもしれませんが、母は強し。子供を看取ることになっても、私のところに生まれてきてくれてありがとう。2023/12/21
JUN
6
大人になるにつれて忘れていくことだけど 死ぬまで忘れちゃいけないこと。2023/08/14
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