内容説明
世界の矛盾が凝縮された場所――パレスチナ。そこで作家は何を見て、何を感じたのか?
同時代の「世界のリアル」を伝える傑作ルポルタージュ!
抗議デモで銃撃されるガザの若者たち、巨大な分離壁で囲まれたヨルダン川西岸地区、中東全域から紛争被害者が集まるアンマンの再建外科病院ーー。
「国境なき医師団」に同行して現地を訪ねた作家が、そこに生きる人たちの困難と希望を伝える好評シリーズ最新刊。
文庫版では、新たに「南スーダン編」「日本編」を追加。
「見つめるほうも、見つめられるほうも、その瞬間を生きている。戸惑いの中から漏れる言葉に吸い寄せられた。」
――武田砂鉄さん(ライター)
「いとうさんだからかけた、ニュースでは見えない人間のドラマ。最前線のリアルが立体的に伝わる一冊です。」
――白川優子さん(「国境なき医師団」看護師)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲をみるひと
24
国境なき医師団取材記。ガザ、西岸地区が対象になっているあたりは時制を捉えている。ガザ編は滞在時間が短くさほど詳しくはないが雰囲気はわかる。全体的に読みやすいとは言えないが、南スーダン編も含め類似本が少なく参考にはなる。2023/11/09
おとん707
15
中心を成すのはガザ地区の実態。と言っても2019年の話。でも既に悲惨な状態だった。「パレスチナの民は平和を求めているだけなんだ。自分たちの国にいて、自分たちの自由が欲しい。それだけだよ。〈中略〉平和のために抗議をしてなぜ撃たれなければならないのか。少しの時間でいいからどうかどうかガザに生きている私たちのことを考えてください。」この現地人ドライバーの願いを伝えるために本書はできたようなものだ。一般のパレスチナ人はハマスには逆らえずイスラエルからは攻撃される。居場所がない。この本が多くの人に読まれますように。2024/03/11
shun
7
2023年16冊目。ペースが上がらない。ゼルダをクリアしたのでここからは上げていこう。MSFの取材でガザや南スーダンを訪れる作品。的場さんの人生と仕事に対する姿勢にただただ感服です。幸せかどうかは別として、間違いなく平和な日本に生まれたことが本当に偶然で、理不尽が日常になっている人が世界には数え切れないぐらいいることを心に留めておきたい。2023/07/17
cof
4
前作をとても興味深く読んだ。続編が出て、そこには行き先にパレスチナが含まれてると知って、ぜひ読みたいと思っていたが遅くなってしまった。やっぱりただの報告じゃなく、いとうさんの感想や思いが入ってるのがとてもよくて、とても現地には行けない、事務方にすらなれない自分にも関わりたいと思わせてくれる。自分はフードバンクの手伝いをしているが、それもMSFも、必要無い世になるのが目標というのはおんなじで、しかし難しいのも同じだった。最後の日本事務局の取材報告がとても嬉しかった。2023/09/03
crnbooks
3
1人の視点を通して見る中東の医療現場。目にしたものをどう理解していいか分からない状態や、推しはかりきれない他人の感情への思いやりが印象的。2023/08/13