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内容説明
B‐29――太平洋戦争を描いた作品には必ずと言っていいほど登場する戦略爆撃機である。1940年代初頭に開発され、当時としては破格の5000キロメートル以上の航続距離を誇ったこのアメリカ軍の長距離重爆撃機は、1944年以降本土空襲を繰り返し、広島と長崎に原子爆弾を落とした。模型や爆音レコードが販売される戦時下の“人気コンテンツ”となったB‐29は、今も『火垂るの墓』などを通して知られている。B‐29はいかにして、太平洋戦争そのものを象徴する存在になったのか。豊富な資料から読み解く、B‐29と日本人の歴史。
目次
はじめに/I B‐29の誕生/第一章 「戦略爆撃」という思想/飛行機の軍事利用がはじまる/ヒュー・トレンチャードの台頭/戦略爆撃思想の芽生え/ミッチェルと第一次世界大戦/飛行機が戦艦を沈める/ミッチェルが遺した戦略爆撃思想/精密爆撃と無差別爆撃のせめぎあい/第二章 B‐29の誕生まで/モノコックボディとジュラルミン/アメリカ軍の重爆開発史/同じころの日本海軍は/日米航空機開発の懸隔/B‐29の開発へ/対日空襲の決定/インドの基地でデビュー/初陣、そして北九州爆撃/II 戦前日本の空襲観/第三章 飛行機が帝国を表象する/黎明期の日本飛行機産業/モダンで尖端的なイメージの時代/空中戦イメージの形成/神風号ブーム/軍歌の時代へ/国策と報道と飛行機/世界に羽ばたくニッポンから「空の帝国」の終焉へ/第四章 海野十三と防空小説/海野十三に対する評価をめぐる問題/「防空小説」の担い手、海野十三/橋本哲男による評価の問題/海野自身が熱をこめた「警告」/関東大震災と海野十三/流言と「スパイ」/『空襲警報』に見るスパイと井戸/水野広徳との比較/海野十三を論じる姿勢について/第五章 日中戦争における空襲観/国際法から見た空襲/「暴支膺懲」という大義名分/或る新体詩人の重慶空襲/振り下ろされる天皇の「火」/爆撃をおこなう眼/III 本土空襲/第六章 日本本土空襲のはじまり/初空襲は航空母艦から/甘い情勢判断/一号作戦とサイパン島陥落/北九州空襲のB‐29はどう報じられたか/〈敵の炎〉と神国日本/サイパンに大型機の展開能力はなかったか/B‐29のコンテンツ化が進む/子ども向け記事に見るB‐29/第七章 B‐29、東京上空に現れる/東京上空にきらめくジュラルミン/整備兵が見上げた「目にもすばらしい敵機」/警防団員に追い立てられた徳川夢声/地下室にい続けた古川緑波/目にできなかった伊藤整/初日は見なかった吉沢久子/八代目正蔵の緊張/物騒を心配する内田百〓/谷崎潤一郎の印象/B‐29による最初の東京空襲/第八章 体当たり攻撃をめぐって/八幡空襲邀撃から引き出された戦訓/北九州上空の体当り/「体当たり」を絵で崇める/揉める帝国議会/流行する「体当り」/対B‐29特攻のはじまり/「死」を待ち望まれたパイロット/第九章 振りまかれる恐怖/警視庁カメラマンが見た空襲直後の銀座/伊藤整が体験した銀座空襲/墜ちてくる機体の恐怖/東京大空襲の夜の距離/原爆投下/原子爆弾の後のB‐29/第一〇章 B‐29搭乗員の処遇/終戦当日の空襲/段階的に出された停戦命令/「終戦」により引き起こされた反動/捕えられた搭乗員の扱い/捕虜扱いをされない「捕虜」/終戦の日に行われた虐殺/救援物資投下にともなう事故の発生/IV 戦後のイメージ形成/第一一章 敗戦から占領期の語り/夢声、B‐29の向うに戦勝国男性を見る/老ジャーナリストが西洋を見てとったB‐29/ある教育者の反省/カナモジ論者・経営管理研究者の苦言/建築学者が観察した空襲と戦災/造船技術者のB‐29評/子どもの世界にしめされるB‐29/アメリカに対する感嘆と乏しい反省/第一二章 アメリカの基地として/朝鮮戦争の勃発/波及した事故/冷戦における撃墜事件と日米行政協定/貸本漫画の隆盛/やられ役としてのB‐29/B‐29がたどった道/第一三章 野坂昭如とB‐29/空襲被害を意味するB‐29/『火垂るの墓』の受容状況/代表作として押し出された「火垂るの墓」/戦災孤児をめぐって/B‐29でよみがえるものごと/終章 B‐29は美しかったのか/「機能美」という言葉のいかがわしさ/「流線形」はどのように機能するか/拡大・浸食する「流線形」/「流線形」と優生思想/爆弾を落す「美人」像/そして、B‐29は美しかったのか/あとがき/参考文献
感想・レビュー
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さとうしん
Minamihama
Toska
Tomozuki Kibe
じぇろポーta
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