内容説明
我が身可愛さに欲をかき、他人を傷つけ深みにはまる。ほら、また同じ過ちを――〈まだ気づかないのか。お前は今も昭和を生きているんだよ〉。関東大震災の傷跡、戦争と復興、高度経済成長と公害、マスメディアの台頭、バブル景気……破壊と創造に明け暮れた「こわい昭和」を描き出す異色の作品集。時代の熱と人間の脆さが生みだす怪談は、かくも怖くて愛おしい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
129
時代をピタっと捉えた一冊。昭和零年代から60年代まで10年ごとの時代をピタっと捉え、時に不気味に不可思議に、そしてせつなさを絡めた作品。怪談要素は皆無、世にも奇妙な物語昭和版って感じ。知らない年代を味わい、知る年代の懐かしさに浸れた。10年代「雨の救急車」はその後が気になる。20年代「愛しき我が家へ」は傷痍軍人さんたちにせつなさ感じ、虚しさ漂う読後感が印象的。30年代「最後の紙芝居」は移りゆく時代と終幕の情景が優しく心に残った。60年代はやっぱり金が物を言う時代ってやつか。昭和といえば黒電話。懐かしい。2023/08/06
ゆみねこ
85
昭和の真ん中辺り生まれの私には、怪談要素より懐かしさが勝った1冊。関東大震災から立ち直った昭和零年代から十年刻みで世相が語られる。雨の救急車はその後が気になるし、戦後復員した傷痍軍人たちの切なさも心に残る。TV台頭で時代の終焉を迎える紙芝居屋、高度成長期と公害。密やかに生きていた過疎の山村と祀り、金に踊らされたバブル期。世にも奇妙な物語風で面白かった。2023/11/12
みかん🍊
73
昭和の時代を10年ごとに切り取って描かれた7編の怪談、妖怪的な話や人間の恐ろしさ、昭和の時代もまだまだ近代とは言いがたく昭和を知っている身としては昔はもっと平和だったと思い込んでいたが、人の命は軽く残虐で物騒な事柄が起こっていた、田舎ではまだ昔からのしきたりを守り信じられないような風習もある、最後の地上げ屋は自業自得とも言えるが、紙芝居のお爺さんの話は不思議だが温かな話で夫婦の強い絆が素敵だった。2024/05/24
ごみごみ
59
昭和零〜60年代それぞれの時代背景とともに描かれる7つのこわい話。10年代、戦時下の工事現場で起こった落盤事故。生きるか死ぬかの瀬戸際で、人の欲望と裏切りが浮かび上がる「雨の救急車」 30年代、子どもたちとの触れ合いを楽しむ老夫婦の前に現れた不思議な男の子との取引き「最後の紙芝居」 50年代、閉鎖社会の隠された歴史、不気味なしきたり、神を祀る「村まつり」 60年代、バブルに踊らされた金の亡者への恐ろしい制裁「古時計」 エピローグでは、思わず中島みゆきさんの「時代」を口ずさむ。時代は巡る、ということか。2023/07/09
アーちゃん
55
「霊能者たち」以来2冊目の嶺里さん。昭和零年代から六十年代を十年ごとに区切った内容に、プロローグとエピローグを入れた9話構成。プロローグが関東大震災なので、連作短編集かと思いきや、独立した話が多く関連しているのはラストとある年代のみ。前作でも思った事だけど、残酷な描写が多く、表紙のテイストよりはホラー寄り。良かったのが三丁目の夕日的な『昭和三十年代 最後の紙芝居』とバブル期の『昭和六十年代 古時計』。2023/07/07
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