内容説明
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疫学研究の金字塔Hisayama studyの全貌!
久山町研究は,日本が誇る世界的な疫学研究であると同時に,そこにはかつての日本人の生き方が凝縮されている。 膨大な資料を読み進むうちに,私はすっかり久山町研究室の代々の研究者や,町の人々の姿に魅了されていった。 頭の中ではいつのまにか,さっそうと自転車にまたがった川辺シカノや, 腰に手ぬぐいをぶら下げて開襟シャツの背中を汗でぬらした研究室のメンバーたちが,勝手に動き出していた。
EBMに端を発した取材は,久山町研究に携わった多くの人々の熱い思いや情熱,哀しみによって,医学を超えて多くのことを教えてくれた。
(「はじめに」より)
目次
はじめに
第1章 死亡診断書への疑惑
遠い記憶/勝木司馬之助の訪問/脳卒中の実態解明を求めて/病理解剖のもうひとつの理由/選ばれた町・久山町/町の決断
第2章 剖検交渉とカンオケかつぎ
第1回成人病集団検診/訪問検診/第七研究室/追跡調査/開業医たちの不安/剖検交渉
/剖検第1号/カンオケかつぎ
第3章 剖検率100%の町
健康増進クラブ/朝日賞受賞と安楽寺の住職/NIHの研究費/共同研究者としての病理学教室/遺族の心情
第4章 紛争の中の研究室
誤診の証明/新メンバーの加入/研究の報酬/大学紛争の中で/内科学会粉砕の嵐
第5章 研究を守った町民たち
町長の決断/「鎖国」政策/よそ者の保健婦/研究と地域医療の間で/高血圧を追放する会の意図
第6章 収穫と新たな課題
新たな出発/七研の4人組/町長の構想と研究室
終章 久山町研究の明日
新たな展開の可能性/厳しい現実