内容説明
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■■各種ミステリランキングで話題沸騰中■■
『このミステリーがすごい! 2022年版』(宝島社)国内編8位
週刊文春ミステリーベスト10(週刊文春2021年12月9日号)国内部門6位
「ミステリが読みたい! 2022年版」(ハヤカワミステリマガジン2022年1月号)国内篇8位
『2022本格ミステリ・ベスト10』(原書房)国内ランキング4位
成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。
怒濤の伏線回収に驚嘆の声続出! 青春ミステリの傑作が、ついに文庫化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
705
大手企業の新卒採用試験最終選考に残った6名の学生。最終試験として課せられたグループミーティングに仕掛けられた企業側のワナによって思わぬ苦境に立たされ互いの恥部を晒し会う事になるのだが。会話のみで進行する物語で何しろ動きらしき動きがない中で、これだけ読ませる筆力は大したものだ。結局、人間なんてみんな1つや2つの恥部は持っているもの、それで当たり前なんです、というテーマや良し。2023/10/24
ハゲおやじ
479
初読みの作家。気になっていた本。「就活」という異常な環境で学生六人の裏の顔?によるミステリー。抜群のリーダビリティで まさに ”読ませる” 本だった。普通ならラストにもってくるであろう内容が 1/2位で出てきて、そこから一捻り いや 三捻り位で読み手を畳み掛けてくる。ラストは、そう来たか で終わる。…って 2024年映画化に期待しちゃうよね。でも「就活」って期間は、受ける側も判断する側も 何なんだろうね?と考えさせられる。とは言え 読後は悪くないね。波多野は 惜しいなぁ…。2023/08/26
chinayo
352
最後の最後まで作者に翻弄された。後半になると、上手い具合に沢山のピースが嵌っていく心地よさと、話の展開の上手さに惚れ惚れした。2024/05/28
海燕
255
話題作には手を出さないのがポリシーだが、就活というテーマに何となく惹かれて読んでみたら、面白かった。まだ「就活」なんて言葉が生まれる相当前に就職活動していた身からすると、就活についてこれほど深く分析することそのものがすごい。本当に優秀な学生を選び、内定を出せているのかは疑問。それにしても緻密な構成で、気の抜けない読書となった。インタビューでの相手方からインタビュアーへの呼びかけ方。騙された主因だが、それは少し変では? と思う。最後、元学生それぞれの後日が語られるくだりでは、少し救われる思いがした。2023/08/27
seba
247
前々から気になっていた作品。文庫化に際して遂に読むに至った。就活生らの計略と疑心暗鬼にまみれた話を想像していたが、最終的には清々しい読後感。とはいえそこに至るまでに、読者の自分も提示された情報を受けて都度一面的に人物を評価しており、短時間で人の本質を見抜こうとすることの浅薄さが身に染みた。逆説的だが、それでも他人を知るためには何より自分の目で見ることが大事だと信じたい。解説で言及されていたように、ミステリの手法と作品の主題とが融和しているため、実感を伴う示唆を得られたのだと思った。期待以上で満足度も高い。2023/07/14




