河出文庫<br> すべての、白いものたちの

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河出文庫
すべての、白いものたちの

  • ISBN:9784309467733

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内容説明

アジア初のブッカー国際賞作家による奇蹟の傑作が文庫化。おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り。

ノーベル文学賞受賞!

ハン・ガン作品、どれから読んだらいいかわからない……という方には、個人的には『すべての、白いものたちの』をお勧めしたいです。
詩のように淡く美しく、それでいて強く心をゆさぶる名作です
ーー岸本佐知子

生後すぐに亡くなった姉をめぐり、ホロコースト後に再建されたワルシャワの街と、朝鮮半島の記憶が交差する。
文庫化にあたり、訳者の斎藤真理子による「『すべての、白いものたちの』への補足」、平野啓一郎による解説「恢復と自己貸与」を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

421
「私」、「彼女」、「すべての、白いものたちの」の3章から構成される。エッセイのようにはじまるが、やがてそれは散文詩のような文体に凝集されてゆく。一見したところでは、気まぐれに語られているかのように見えるが、全体を貫流するのは小説としての緊密な構成意識である。そして、これらの3章はいずれも変奏されてゆくモノローグだ。「白」はおくるみの色であり、また寿衣(死者の衣)の色である。そして、ここはソウルであると同時に時には破壊されたワルシャワである。作品内の時が流れる間、生と死は近接し、時には交換されたりもする。 2025/04/26

buchipanda3

115
生と死の記憶、そして祈り。生を授かった時の光景はどんなものだろうか。まだ見えずとも眩しさのようにすべてを白く感じさせてくれるのかもしれない。生きることの象徴のように白いものたちが囲む。やがて様々な色に染まり、汚れもあるが、いつかは何もかもから解放され再び白いものへ。著者は自身の生の肯定と否定に揺れる中、自分と姉の言葉を紡ぎ合わせる。それは孤独なものであるが、故国の悼む物語を描いた彼女はそれを書く勇気を持てた。薄紙の裏側の白さのような死も雪のように真っさらな白い紙の生も力を込めて綴った。記憶と祈りを胸に。2024/12/07

やいっち

114
前日から一昼夜も経ずに。一気読みするような生半可な作品ではないのだが。詩的な小説…それとも物語の形を持った詩の連なり。「おくるみ、産着、雪、骨、灰、白く笑う、米と飯……。朝鮮半島とワルシャワの街をつなぐ65の物語が捧げる、はかなくも偉大な命への祈り」という作品。2024/12/16

シナモン

109
著者の人生に結びつけられた白いものたちの記憶。たっぷりととられた余白、詩的で美しい文章。ページをめくるたびにひとつひとつが静かに深く心の底にたまっていく。幻影のなかを漂いながら読み進める感じだった。とても良かった。ー意識のない状態で、赤ん坊は乳房をくわえ、少しずつ飲み込んだ。もっと、もっと、飲み込んだ。まだ目は閉じたまま。今このとき、自分が超えつつある境界が何であるのか知らぬまま。(P136)ー寒さが兆しはじめたある朝、唇から漏れ出る息が初めて白く凝ったら、それは私たちが生きているという証。(P87)2025/06/22

優希

108
儚くも美しいような断章でした。白いものを書き留めることで、命の鎮魂と恢復への祈りが感じられます。白いものに死を落とし込んでいるにも関わらず、あたたかく静かに優しく紡がれているのが心に染み込んできました。死と生の物語に愛おしい想いが湧いてきます。2024/11/07

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