内容説明
疲れた心に沁みる、美味しい連作短編小説。
★「お願いおむらいす」 音楽への夢を捨てきれないまま、追い詰められて就職した太一。音楽雑誌の出版社に就職したはずが、全然違う仕事に就くハメに。それでも頑張ってしまうマジメな太一が気づく大切なこととは。
★「キャロライナ・リーパー」 久しぶりに会う大好きな姉と疎ましい父親。突然聞かされた姉の悲しいニュースに、心は乱れる。対照的に歩んだ女性の生き方、悩みをホロ苦く描く。
★「老若麺」 ラーメンの名店「紅葉」ぐるフェス店を任された天翔と崇。だが、どうしてもあの味を出せず客は集まらない。そんなとき事件が起こり、ある秘密が解き明かされることに。
★「ミュータントおじや」 美優は自他共に認める崖っぷちアイドル。大ファンだという女子中学生と出会い、行きがかり上その子の面倒をみることに。自分を押し殺して生きてきた美優の思いとは。
★「フチモチの唄」 50代後半にしてまさかのリストラになってしまった浩。大切な家族を守り切れない自分に苛立つ。最愛の母の命が長くないことを知り、彼が下した決断とは……。
秋のある日、「ぐるフェス」に集う人々の人生模様を生き生きと描く。心がほわっと温まる全5編。
※この作品は単行本版『お願いおむらいす』として配信されていた作品の文庫本版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さくら★もち
27
公園で催される食の祭典「ぐるフェス」を舞台に、やりたくない仕事、身体の不調、家族のために選ぶ道、諦めきれない夢など、人生において様々な葛藤を抱えた人々の姿が描かれる物語。都合良く奇跡は起きない。でも人との出会いに、家族との絆に、誰かからの言葉の中に、小さな希望のカケラが散らばっている。積み重ねてきた過去にたくさんの可能性があったように、これから先の人生にだってたくさんの可能性があるんじゃないかな、と読んで前向きな気持ちになれた。それにしても登場するグルメが魅力的。かすうどん、久しぶりに食べたいなぁ。2023/08/26
ごま麦茶
2
ぐるめフェスティバルに関わる人たちの、短編連作集。どのお話も、なんだかほんわりあたたかい気持ちになれました。最後の『フチモチの唄』では、ほろり。出てくる食べ物の描写もとても美味しそうでした。ミュータントおじや、どんな味なのか気になる(笑)2023/08/19
水さん
1
誰かに話せばうまくいく悩みってあるかもね2023/09/02
まこりん
0
面白かった。ぐるフェスに来る様々な人たちの話をまとめた短編集。少しずつ関連があって、次々に話が展開していき興味をもって次の話に進めた。総じてハッピーエンドなのも良かった。お仕事小説であり、各人の生き方紹介でもあって心地良い読了感が残った。2024/03/20