内容説明
少子高齢化による労働力不足や排外主義の台頭もあり、移民は日本の大きな課題となっている。本書は、感情論を排し、統計を用いた計量分析で移民を論じる。たとえば「日本に住む外国人の増加により犯罪が増える」と考える人は6割を超えるが、データはその印象を覆す。こうした実証的な観点から、経済、労働、社会保障、そして統合のあり方までを展望。移民受け入れのあり方を通して、日本社会の特質と今後を浮き彫りにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
74
トリプル安になって、最早日本は移民先にはまるで適さなくなったのでは。選ばれない国。それどころか意欲ある若者は日本を実限ってオーストラリアやアメリカへ出稼ぎに……戻らないから日本の若者が移民になるのか?!2023/10/31
うえぽん
53
東大社研の社会学者が国内外の計量分析研究を基に移民受け入れのあり方を冷静に論じた書。移民による労働条件、経済成長、社会保障への経済的影響、犯罪発生等の社会的影響に係る分析結果は、ニュースや常識とは必ずしも合致しない。入国許可、永住許可、国籍付与の3つのゲートの制御の検討には、権利付与のための負担と統合による受益の比較が必要。国籍制度のあり方が国民観に影響するが、外集団との良好な接触機会は偏見を低減。日本の社会経済の綻びを覆い隠す存在としての移民問題に矮小化せず、雇用、地域等全体の議論が必要との考えも理解。2025/04/08
なかしー
46
本書の3つの大きな柱① 「移民」という語の多義性と政策の実態 日本では「移民政策はとっていない」とされるが、実際には多数の外国人が就労・生活している現実がある。技能実習生、留学生、特定技能などを含めると、「移民的状況にある人」はすでに相当数存在するが、日本の制度は「移民としての受け入れ」ではなく、日本人がやらないや適材がいない低・高技能を代替手段として「一時的な労働力」としての枠組みに依存している。労働環境が悪く非効率で生産性の低い産業が延命する手段や1次産業の担い手不足などの問題の根が深い。2025/08/31
venturingbeyond
38
良書。定量的な社会学や経済学の知見(海外での先行研究中心)を用いて、日本における移民問題を考える多面的な視点を提示し、感情的かつステレオタイプ的な移民理解を相対化して、問題の所在やその定置のあり方まで含めた全体像を概観する。終章で著者が示す視点は、「移民問題」としてのフレーム化そのものに対する批判的姿勢であり、「移民問題」にとどまらない現代日本の社会問題としての把握と問題の改善・解決への展望を考えていくためにも、本邦における現状を明らかにするための社会調査の充実が求められる。2021/07/22
sayan
34
在日外国人の現状を最新の数値データと共に記述する著者の試みは大変意欲的だ。入管法の運用厳格化(2018)特定技能導入・入管庁へ格上げ(2019)と入管行政は慌ただしい。著書は「国内外の要請に応じ質的に異なる外国人受入の制度が部分的に接合したシステム」と説明する。全く知られてないが、例えば日本政府は、官房、外務、法務で各々異なる難民受入を行う。政策目標は各省で異なる。そのため「統合」という1単語で外国人受入の将来像を考察するには色々と収まりが悪い。政府は統合ではなく、自立・共生を使用する。その含意は複雑だ。2020/05/12




