内容説明
スーパーヒーロー映画は、商業主義の子供だましと言われ、たしかにそういう映画もありますが、
ライアン・レイノルズやジェームズ・ガンやデスティン・ダニエル・クレットンやパティ・ジェンキンスのような映画作家たちが、
自分個人の問題に引きつけて、そこから世界の現実をえぐります。
そして、その映画を観た人々は人生のなかで選択に迷った時にこう思うでしょう。
ヒーローだったら、どっちを選ぶ?
(本書より)
なぜヒーローが世界を救うのか?
なぜヒーローはマスクをするのか?
アメリカスーパーヒーロー映画における「正義」や「悪」の価値観とは?
「平和」とは誰のためのものなのか?
2万字に及ぶ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ジェームズ・ガン監督論も収録。
アメリカスーパーヒーロー映画がどのように社会を反映させながら変容してきたのか。
町山智浩が徹底的に考察する!
【目次】
【もくじ】
はじめに
アンチ・スーパーヒーローのスーパーヒーロー映画
ジェームズ・ガン監督論 vol.1
ピーター・パーカーは十字架を背負う
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
”笑いなよ”という呪縛
『キャプテン・マーベル』
スーパーヒーロー映画を観る意味とは?
『シャザム!』
家父長制というスーパーヴィラン
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』
任務よりも大事なこと
『ブラック・ウィドウ』
誰が監視者を監視するのか?
『ウォッチメン』(ドラマ版)
銀河を翔る父への愛と憎しみ
ジェームズ・ガン監督論 vol.2
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kei-zu
27
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のジェームズ・ガン監督から始まり、巻末もジェームズ・ガンで締める。マーベル映画は、人間ドラマの小品の監督に大作を任すとのこと。任された大作への、監督自身の個人的な人生の重ね合わせに関する解読が興味深い。 ヒーローは、超能力を持つから特別なのではなく、「どうあるか」を背負っている。「スパイダーマン ノーウェイ・ホーム」の説明は涙もの。2023/06/11
イワハシ
6
著者の映画解説は、いつもついつい見たような気になってしまうので、気をつけたい。下手すると映画そのものより「語って」いる。で読んでから映画を見ると「あれ? 浅い?」となる2023/05/14
Myrmidon
5
あっという間に読了。アメコミ・ヒーロー映画のファンとしては既知の話も多かったが、ジェームズ・ガンと父の関係などははじめて知ったし、鑑賞済み作品の追体験としても楽しい。なお、世間ではMCUはフェーズ4以降低調な評価も聞きますが、個人的には『ラブ&サンダー』と『クワントマニア』は微妙だったが、他はかなり高評価です。『ワカンダ・フォーエバー』と『GOG3』は当然ながら、本書でも扱われる『ブラックウィドウ』と『シャンチー』も名作だと思っています。『エターナルズ』『Dr.ストレンジmom』は好きだけど賛否ありか。2023/05/22
遊星
4
発売時に購入していたのだが、当時はスパイダーマンNWHを未見。見る前に読むのがもったいなくて、NWHの章だけ残しておいたのだが、今般ようやく鑑賞し当該章も読んで完読。ジェームズ・ガンは遥か昔にLA秘宝というLAの裏観光みたいなDVDで町山さんがインタビューをしていて知ったが、今や大監督になったことにしみじみ。NWHの章でのトロッコのジレンマを例にしたスーパーヒーローとは何かの解説、キャプテン・マーベルでの女性をヒーローとして描くことに対する男たちからされた攻撃等、町山さんらしい話が満載で面白かった。2024/02/04
法水
4
いわゆるアメコミ映画を取り上げた一冊で、核をなすのはジェームズ・ガン監督論。マーベルもDCも避けて通ってきたので、ドラマ版『ウォッチメン』ぐらいしか見たことがある作品がなかったけど、やはりこういうのを読むと観たくなるのよなぁ。でも本数多いからなぁと延々とこの繰り返しになってしまうのだけど、ジェームズ・ガン監督作品だけでも観るとするか。2023/06/21